研究課題/領域番号 |
08254218
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
岡本 仁 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (40183769)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1996年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | LIM / ホメオドメイン型転写因子 / Islet-3 / ゼブラフィッシュ / 小脳形成機構 / pax2 / wntl / 中脳後脳境界部 |
研究概要 |
LIM/homeodomain型転写因子のLIM domainは、通常homedomainのターゲットDNAへの結合を阻害しているが、特定の共役因子がこの部位に結合することにより阻害が解除され、homeodomainのターゲットDNAへの結合が可能となる、というモデルが提唱されている。我々はこのモデルに従い、眼と視蓋に特異的に発現するIslet-3のLIM領域のみをゼブラフイッシュ胚で過剰発現させ、共役因子を吸収することによって内因性Islet-3の機能を抑制する実験を行った。LIM過剰発現胚では、眼胞の欠失がみられた。正常発生過程で、中脳及び中脳・後脳境界の背側組織(翼板)は、発生過程でダイナミックな変形を示し、各々視蓋と小脳の原基へと分化する。LIM過剰発現胚では、この過程が阻害されており、視蓋及び小脳への区分化が起こらない。更に、本来小脳原基へと分化するはずの中脳・後脳境界部では、発生過程で細胞死が観られ、結果的に小脳原基が著明に低形成となった。正常胚では、wntl,eng2及びpax2などの遺伝子は、中脳及び中脳・後脳境界領域の分化を促進していることが分かっている。LIM過剰発現胚では、これらの遺伝子は受精後10時間目以後に正常胚と同じようにすべて発現するが、14時間目頃にまずwntlの発現が消失し、その後にeng2とpax2の発現も失われることが分かった。このことと、モザイク解析の結果などから、中脳及び中脳・後脳境界領域の分化においてIslet-3は、中脳・後脳境界部から放出される中脳分化促進因子(FGF8)に反応し、中脳がwntlを分泌する過程の維持に必須であること、さらにはwntlによって誘導される中脳起源の分泌因子(未同定)を介して、小脳原基の分化にも深く関わっていると考えらえる。
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