研究概要 |
前年度の実験において、5.5×10^4pfuのcDNAライブラリーからcDNAの全長を含んでいると予想されるおよそ2,200bpの断片を含む陽性クローンを単離し、LASAP1と命名した。本年度は、このクローンのdeletion seriesを作成し、Sangerのdideoxy chain-terminal法により全塩基配列を決定した。LASAP1は2,187bpからなり、、637アミノ酸残基をコードする1,914bpのopen reading flameを有していた。データベースPDB,SWISS-PROT,PIR,GenPeptに対してアミノ酸配列の相同性検索を行った結果、Phaseolus vulgaris由来のacid phosphatase (APase)に76%、Arabidopsis thaliana由来のAPaseに71%、2つのAspergillus由来のAPaseにそれぞれ59%、58%の高い相同性を有していた。Phaseolus vulgaris由来のAPaseについてはFe,Znを含有する活性中心を7つのアミノ酸が構成することが報告されている(Strater et al., 1995)が、全てのアミノ酸がlupin,Arabidopsisで保存されており、これらの酸素は全て同様の機構で反応することが示唆された。先に、本酵素のN-末端アミノ酸配列を決定したが、LASAP1にはこれより上流に31のアミノ酸からなる領域が存在した。この領域は疎水性の高い領域であり、分泌性であるダイズおよびArabidopsisのAPaseのそれと類似していることを考えると、この領域は分泌に必要なシグナル配列であると考えられる。また、前年度に調製可能となったプローブLAP493を用いゲノムライブラリーをスクリーニングしたところ、1つの陽性クローンが得られた。現在このクローンについて解析中である。
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