研究課題/領域番号 |
08255217
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
片山 葉子 東京農工大学, 農学部, 助教授 (90165415)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1996年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 気候変動 / 硫酸エアロゾル / 硫化カルボニル / チオシアン分解 / 微生物分解 |
研究概要 |
多くの気体状硫黄化合物は大気中では硫酸イオンにまで酸化され、降下により取り除かれるのに対し、硫化カルボニル(COS)は化学的に安定で成層圏まで移行し、そこではじめて紫外線による分解を受ける。これは硫酸エアロゾルの主要な供給源となり、地表の温度を下げる効果があるので気候変動に関わることが指摘されている。硫黄酸化細菌Thiobacillus thioparusのチオシアン分解酵素は反応産物としてCOSを生成する。COSはH_2Sと同程度の有毒ガスであり、生物由来のガス成分でもある。本細菌の純粋培養系では、ヒトの致死濃度以上の高濃度COSが存在しても、分解される。また、代謝中間体であるCOSを一時的に細胞外へ放出することも明かとなっている。しかし、自然界は多種の微生物が共存した複雑な系であり、環境からのCOSの放出や消失のプロセスの理解、あるいはこのプロセスを浄化へ応用しようとする場合には、より実際に近い条件で解析を進めることが必要である。本研究は、自然界におけるCOS発生の基質の解明、および土壌細菌によるCOSの分解除去、を中心に研究を進めた。 湖水の表層水あるいは火山灰土壌を密閉容器に入れsinigrinを添加し培養を行なったところ、sinigrinの分解と共にCOSの放出が確認され、湖水や土壌に生息する微生物の作用によってsinigrinは容易に分解され、分解途中でCOSを気相中に放出することが明かとなった。 土壌微生物によるCOS分解活性を評価するために、土壌を詰めたカラムを用いCOSの連続的負荷実験を行なった。砂質土壌、火山灰土壌共にCOSは効率良く分解され、土壌微生物は馴化の期間を必要とせずにCOSを分解し、生物由来の悪臭・有毒ガスの成分でもあるCOSの除去に土壌を利用することが有効であることが示された。
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