研究課題/領域番号 |
08255224
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
江崎 信芳 京都大学, 化学研究所, 教授 (50135597)
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研究分担者 |
栗原 達夫 京都大学, 化学研究所, 助手 (70243087)
吉村 徹 京都大学, 化学研究所, 助教授 (70182821)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1996年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | デハロゲナーゼ / 2‐ハロ酸 / フルオロ酢酸 / 触媒機構 / エステル中間体 |
研究概要 |
本研究では、環境汚染物質である有機ハロゲン化合物の一種、2‐ハロ酸の加水分解的脱ハロゲン反応を触媒する2‐ハロ酸デハロゲナーゼの構造と機能を明らかにし、これに基づいて優れた脱ハロゲン能を持つ酵素を設計し、環境浄化への応用を計ることを目的とする。L‐ハロ酸のみを基質とするL‐DEXとヒドロキシルアミンを基質存在下で反応させた場合、酵素の失活が認められたが、この失活酵素のイオンスプレー質量分析装置などによる解析から、Asp10が修飾されてアスパラギン酸β‐ヒドロキシム酸カルボキシアルキルエステルが生成している可能性が示された。この結果は、水よりも求核性が高いヒドロキシルアミンが、水分子の代わりにエステル中間体を攻撃し、Asp10が修飾されて酵素が失活することを示唆し、L‐DEXの反応では、Asp10が求核性触媒基として基質a‐炭素に作用し、エステル中間体が形成されることが予想された。またAsp10近傍のAsp180の変異酵素であるD180Nと基質を反応させ、質量分析を行ったところ、変異酵素では基質に相当する分子量の増加が見られた。タンデムMS‐MS解析により、この増加はAsp10の修飾に伴うことも確認され、Asp180はエステル中間体の加水分解反応に関与することが判明した。一方、本研究ではD,L‐両ハロ酸に作用するDL‐DEXをコードする遺伝子の全一次配列を明かにするとともに、DL‐DEXと一次構造上の相同性を示すD‐2‐ハロ酸デハロゲナーゼとの間で保存されている26残基の極性アミノ酸の部位特異的変異を行い、DL‐DEXのThr65、Glu69、Asp194が、D‐,L‐どちらの基質との反応についても必須であることを明かにした。またフルオロ酢酸に作用するフルオロ酢酸デハロゲナーゼの反応は、L‐DEXと同様にエステル中間体を経由して進行するものと考えられた。
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