研究課題/領域番号 |
08255228
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
錦織 千佳子 京都大学, 医学研究科, 助手 (50198454)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1996年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 紫外線 / 免疫抑制 / ピリミジンタイマー / IL‐10 / リポゾーム / 遅延型過敏反応 |
研究概要 |
本研究の目的は、紫外線による免疫機能のメカニズムを太陽光近似の太陽灯を用いて、細胞、分子のレベルから解明することである。そのために、先ず紫外線によるDNAへの傷害に着目し紫外線によって生じるピリミジンダイマーを特異的に修復する酵素であるT4Endonuclease V(T4N5)を含有するリポゾームを処理することによって紫外線照射後の表皮細胞からの液性物質の免疫学的機能がどのように変化するか並びにサイトカインの産生がどう変化するかを調べた。 マウス表皮細胞に紫外線(光源はFS40 Sun lamp)200J/m^2を照射直後よりT4N5リポゾームを処理した後、通常の培養液に戻し24時間後の培養上清をマウスに静注後、アロ抗原に対する遅延型過敏反応を見たところ紫外線照射後T4N5リポゾームで処理しない培養上清は、DTHの反応を約50%に抑えたが、T4N5リポゾームを処理した培養上清では、紫外線による抑制効果がみられなかった。UVB200J/m^2照射24時間後の細胞でIL‐10が強く染色されたが、紫外線照射後T4N5リポゾームを処理した細胞にはIL‐10の染色性は明らかに減少した。細胞から培養液中に放出されるIL‐10の産出量をELISAにより測定したところ、同様に紫外線照射後T4N5リポゾームを処理することによってIL‐10の産生が減少することがわかった。チミンダイマーに特異的なモノクローナル抗体を用いたダイマーの検出においても、Endonuclease Sensitive Site(ESS)assayでもUVB200J/m^2照射6時間後のピリミジンダイマーの量が、紫外線照射後T4N5リボゾームを処理することによって明らかに減少するが、紫外線照射後コントロールリポゾームを処理した群では紫外線照射のみの群と比べて差がみられないことが確認された。 以上のことにより紫外線によって生じるピリミジンダイマーが抑制性のサイトカインであるIL‐10の分泌を促進し、それが紫外線による免疫抑制の機序ののひとつとなることが示唆された。
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