研究課題/領域番号 |
08255229
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
宮越 順二 京都大学, 医学研究科, 助教授 (70121572)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1996年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | 極低周波変動磁場 / 培養細胞 / 遺伝子突然変異 / HPRT遺伝子 / 同調培養 / スペクトル解析 |
研究概要 |
ヒト由来培養樹立細胞(MeWo)ならびにチャイニーズハムスター由来CHO‐K1細胞を用いた。突然変異誘発を検索する遺伝子座として、hypoxanthine‐guanine phosphoribosyl transferase(HPRT)遺伝子を選んだ。15cmド-ナツシャーレの外側リングで培養した細胞に400mTの変動磁場(ELF)を1時間から20時間まで曝露した場合、2時間で約4.5倍、10時間で約6倍に突然変異誘発頻度は増加した。ELF曝露をさらに20時間まで行ったが、突然変異誘発頻度のさらなる増加は見られず、ELF10時間曝露とほぼ同じレベルであった。一方、15cmド-ナツシャーレの内側から外側にかけて培養した細胞に400mTで2時間曝露した場合、突然変異誘発頻度は誘導電流密度にほぼ依存して増加した。次にMeWo細胞をアフィディコリン(5μg/ml)処理によりG1期とS期の境界に同調し、ELF曝露(400mT、2h)、Sham曝露、およびX線照射(3Gy)を行なった。X線照射による突然変異はG1期/S期の境界で高く、Sの中期から終期にかけて低くなっている。これに反してELFの場合、S初期で低く、Sの中期で高くなっている。一方、CHO‐K1細胞を用いてELF(400mT、5h)曝露後、6TG^rのクローンについてHPRTcDNAのシークエンスを行ないどのような突然変異が誘発されているか検討した。ELFでは11クローン中、塩基置換7、欠失1、スプライシングエラー3であった。自然突然変異は8クローン中、塩基置換5、スプライシングエラー3であった。まだ例数が少ないので何ともいえないが、ELFと自然突然変異でスペクトラムに大きな違いはなさそうである。従来、ELF曝露では突然変異の誘発が起こらないとされてきた。本研究で用いたELF(50Hz、400mT)は我々の生活環境におけるELFの磁束密度に比べて数万倍という非常に高いものであるが、ELFにより突然変異誘発頻度が増加することを初めて示した報告である。
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