研究概要 |
研究成果 1.収量 日本の火山灰畑不耕起栽培における収量は,定法の耕起と比べてほぼ同じであった.一方水田不耕起栽培の水稲収量は,初年目は定法の耕起の方が多少とも高かったが,2年目から明瞭に不耕起の方が高くなった.従って,不耕起栽培における収量は,畑作物および水稲ともに低下しないことが認められた. 2.土壌有機物量 わが国の畑不耕起栽培は,土壌有機物量を明瞭に増大させ,特に土壌表層(5cm以上)で顕著であった.また増大効果は作土層全体(25cmの深さ)に迄及んでいた.水田不耕起においても畑不耕起ほど顕著ではないが,ほぼ同じ現象が認められた.従って,不耕起栽培は化学多投の近代農法と異なり,土壌有機物を富化させる土壌生態防除型農法であると言える. 3.土壌微生物数およびそのバイオマス窒素量 不耕起栽培土壌における微生物(細菌,糸状菌)数およびそのバイオマス窒素量は,畑および水田土壌ともに表層(10cm位迄)に著しく富化し,特に土壌表層(5cm以上)で顕著であった.それ以下の層では耕起栽培土壌とはぼ同じか多少とも減少することが示された.畑不耕起と水田不耕起とを比べると,畑不耕起の方が微生物数およびバイオマス窒素ともに多少ともその効果が大きいことが推定された. 4.土壌酵素活性 不耕起栽培土壌における炭・窒・燐代謝に関与する酵素(エクソセルラーゼ,プロテアーゼ,ホスファーターゼ)活性は,畑および水田土壌ともに表層(畑:10cm迄,水田:5cm迄)で著しく高く,特に土壌表層(畑:5cm以上,水田:2cm以上)で顕著であった.土壌酵素活性は,畑不耕起の方が水田不耕起よりもその増加効果が大きいことが示唆された.
|