研究概要 |
以下の実験に用いたマウスはC3H/Heの雌(10-16週令)で、新人為起源有害物質のダイオキシンは2,3,7,8-Tetrachloro didenzo-p-dioxin(TCDD)であった。 1)TCDD処理による卵子の不定期DNA合成(UDS)の検出:in vivoの実験として、TCDDを雌マウス腹腔に投与した後、卵巣から酵素を用いて卵を採取し、^3H-thymidine(1.85MBq/ml)を含む培養液中で3時間培養した後、低張・固定後、卵の標本を作成した。卵標本のTCA処理後、オートラジオグラフィー処理を行い、染色後、銀粒子数を計測した。in vitroの実験は、採取した無処理のマウスの卵を^3H-thymidine培養前にTCDD存在下で1時間処理した。以下の方法は上と同じであった。その結果、カウンターパートに用いたMMSやENUは、in vivo,in vitro処理にかかわらず、キアズマ染色体(MI)上でUDSが検出できた。しかし、TCDD処理群では、in vivo,in vitro処理の両方とも、UDSは検出できなかった。 2)TCDD処理による卵子の染色体異常の検出:TCDDを雌マウス腹腔に投与した後、卵巣から酵素を用いて卵を採取し、コルヒチンを含む培養液中で3時間培養した後、低張・固定後、卵の標本を作成した。卵標本の染色後、顕微鏡下で主にキアズマ染色体(MI)を分析した。その結果、カウンターパートに用いたMMSの100mg/kg投与群は、約30%ほどの異常染色体を有する卵が検出され、その異常のタイプは、GapやExchangeが多かった。TCDDの100μg/kg投与群においても約20%ほどの異常染色体を有する卵が検出され、その異常のタイプはMMSと異なりGapやExchageは検出されず、数異常(aneuploidy)がほとんどであった。さらに検討が必要である。
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