研究課題/領域番号 |
08256210
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
さき村 健司 新潟大学, 脳研究所, 教授 (40162325)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1996年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 神経細胞壊死 / NMDA受容体チャネル / グルタミン酸受容体チャネル / カイニン酸 / ジーンターゲッティング |
研究概要 |
興奮性アミノ酸は、様々な病態でおこる神経細胞の壊死に関与することが示されており、この作用は、高いカルシウムイオンの透過性を持つ、NMDA型のグルタミン酸受容体チャネルを介することが示唆されてきた。我々は、NMDA受容体チャネルが、神経細胞の壊死に果たす役割を明らかにするために、この受容体の機能特性を決定する4種類のεサブユニトを欠失したマウスを作製し、興奮性毒物であるカイニン酸に対する影響を検討した。なお、ホモ接合体になると死亡するε2サブユニト変異マウスはヘテロ接合体を用いた。4種類の変異型および野生型のマウス(週齢8-12週の雄)に、カイニン酸を腹腔投与した。野生型の40mg/kg体重投与群マウスは、全ての個体が痙攣をおこし、約70%のものが2時間以内に死亡する。さらに3日以内に10%のものが死亡し、1週間生存するものは全体の20%であった。これに対して、ε1サブユニト欠失マウスは、痙攣を起こす個体が約10%であり、死亡するものはいなかった。2時間以内の痙攣誘発率、死亡率でみると、ε2ヘテロ変異、ε3変異マウスはそれぞれ約50%、20%であり、ほぼ同じ値であった。ε4変異マウスのそれは、それぞれ約80%、30%であった。これらのことから、カイニン酸が惹起する興奮毒性に対して、程度の差はあるがNMDA受容体チャネルサブユニット欠失マウスが抵抗性を持っていること、さらに、欠失するεサブユニットにより、その程度が異なることが明らかになった。このことは、カイニン酸による興奮毒性の発露に、NMDA受容体チャネルを介する過程が存在することを示すものである。
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