研究課題/領域番号 |
08256211
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
那波 宏之 新潟大学, 脳研究所, 教授 (50183083)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1996年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 神経変性 / 老化 / 神経栄養性因子 / ニューロトロフィン / 酵素免疫抗体法 / アルツハイマー病 |
研究概要 |
脳神経細胞は種々の外的刺激に対し、神経伝達物資・神経ペプチドの産生、放出を巧妙に調節しながら、神経系における恒常性を維持していると考えられる。従って一度そのバランスが崩れると、個体は何らかの神経・精神疾患を破ることになると考えられる。我々はこのニューロトロフィンと呼ばれる神経栄養性因子が老化過程における脳内の神経伝達物質、並びにその受容体の合成をどのように調節しているかを研究し、神経変成疾患との関連を探索した。 昨年度はラット老化過程における海馬ニューロトロフィンの動向をサンドイッチ型酵素免疫抗体法を用いて調べた。その結果は予想に反し、BDNFとNT-3は加齢に伴う上昇傾向を示し、NGFは低下傾向を示した。この結果にもとづき、今度はヒトにおいて、同じサンドイッチ型酵素免疫抗体法を用いてアルツハイマー病におけるこれらニューロトロフィンの動向を調べた。アルツハイマー病患者脳では既にこのニューロペプチドYが特異的に低下することが知られている。大脳皮質運動野、海馬歯状回、嗅内皮質の各部位で、コントロール脳内でのニューロトロフィン含有量を比較検討したところ、NGFはアルツハイマー病患者の回馬歯状回において有為に上昇し、反対にBDNFは嗅内皮質で、NT-3は大脳質運動野で有為に低下していた。これらの変化方向は上のラット老化過程におけるニューロトロフィンの動向とは正反対であり、また、アルツハイマー病でのニューロペプチドY低下を説明しうるものである。更に、我々は以前にBDNFが培養した大脳皮質神経細胞に作用してAMPA型グルタミン酸受容体の発現を増加させる活性をもつことをしらべていたので、アルツハイマー病患者脳でのAMPA型グルタミン酸受容体の発現量をNMDA型グルタミン酸受容体の発現量をコントロールにしてウエスタンブロチングで定量した。結果、AMPA型グルタミン酸受容体の発現量がこの病気により特異的に低下することが確認され、アルツハイマー病におけるBDNF含量変化と相関することが判明した。これらの結果はBDNFという神経栄養性因子が、神経伝達物資、並びにその受容体の合成に異変をおこし、アルツハイマー病の病態に寄与している可能性を示唆していると考えられる。
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