研究概要 |
1.脂質アルデヒド(4-hydrpxy-2-nonenal,HNE)のヒスチジン残基への付加物に対する特異抗体を用いて中脳の免疫組織化学染色を行い、陽性に染まる黒質神経細胞の割合が正常コントロールと比較してパーキンソン病患者において有意に高いことを明らかにした(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93:2696-2701,1996)。2.抗HNE抗体によってミトコンドリアに局在する2種の蛋白質が免疫染色されることを見いだし、酸化的ストレスに曝されている組織において脂質アルデヒドによるミトコンドリア蛋白の修飾と機能抑制が重要であると示唆された。3.パーキンソン病患者と百寿者のmtDNA遺伝子型の比較:既に分析の終了しているパーキンソン病患者5例に加えて5例の線条体mtDNAに解析を行った。コントロールとして11例の百寿者のmtDNAの塩基配列決定を行った。現在、変異の構造と機能に対する影響を検討し、発表を準備中である。4.パーキンソン病の線条体におけるmtDNAの点変異蓄積の解析を行った。パーキンソン病患者3例の線条体からmtDNA断片を増幅し3症例からそれぞれ60クローンを単離し、合計180クローンについて塩基配列を解析した。同様に中年のコントロール3例と高年齢コントロール3例の線条体からそれぞれ20クローンを単離し、合計120クローンについて塩基配列を解析した。その結果、パーキンソン病患者において、点変異の頻度が中年のコントロールおよび高年齢コントロールよりも有意に高いことを見いだした(Kovalenko et al.投稿準備中)。
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