研究課題/領域番号 |
08257204
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
深田 吉孝 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (80165258)
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研究分担者 |
岡野 俊行 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (40272471)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1996年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 松果体 / 脳内光受容 / 遺伝子クローニング / ピノプシン / 光受容蛋白質 / G蛋白質 / 概日リズム / 情報伝達 |
研究概要 |
交付申請書に記載の研究実施計画に沿って研究を進め、以下の知見を得た。 1.ニワトリ松果体における概日時計の光位相調節メカニズムを知るため、光受容蛋白質ピノプシンの情報下流を検索した。具体的には、トランスデューシン類似のG蛋白質がピノプシンと共役して光情報を変換している可能性が高いと考え、ヒヨコ松果体cDNAライブラリーより、3量体G蛋白質αサブユニットの遺伝子を検索した。その結果、GT1α(桿体型トランスデューシン)・Go1α・Go2α・Gi2α・Gi3αをコードする5種類のcDNAが単離できたが、いずれも百日咳毒素によるADPリボシル化部位をもつことがわかった。松果体概日時計の光位相シフトが百日咳毒素に非感受性であることを考え併せると、これらのG蛋白質が時計の光位相シフトを媒介する可能性は低い。そこでさらに、特異抗体を用いて他のG蛋白質を探索したところ、Gq/11αが松果体に豊富に存在することを見出した。この遺伝子をヒヨコ松果体cDNAライブラリーより単離したところ、百日咳毒素によるADPリボシル化部位をもたないことがわかった。脊椎動物の光受容蛋白質はトランスデューシンGtと共役するが、イカ・タコ・ショウジョウバエなど無脊椎動物のロドプシンはGqと共役して光情報を変換増幅することが知られている。ニワトリ松果体という光受容組織においてピノプシンがGtならびにGqという2つのG蛋白質と共役しているとすれば、光情報変換のシステムとしての進化を考える上で極めて興味深い現象といえる。 2.ある種の動物の脳深部には長日・短日を認識する光受容体が存在し、季節性繁殖などの生理現象を司ると考えられているが、その分子実体は全く不明であった。本研究において、光受容体遺伝子の高感度検索を行った結果、ヒキガエルの脳深部mRNAから光受容蛋白質をコードすると考えられる遺伝子を単離することに成功した。
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