研究課題/領域番号 |
08258208
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山崎 力 東京大学, 保健管理センター, 講師 (60251245)
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研究分担者 |
鈴木 享 東京大学, 医学部(病), 医員
塩島 一朗 東京大学, 医学部(病), 医員
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1996年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | アンジオテンシンII / Raf-1キナーゼ / ERK / Src / Csk / Ras / 心筋細胞 |
研究概要 |
我々の研究室ではこれまでに、心筋細胞に伸展負荷を加えるとAngII、エンドセリン1(ET-1)といった液性因子がオートクリンファクターとして働き、ERKの活性化、前癌遺伝子の発現に続いて心肥大が形成されることを明らかにした。しかし、ERK上流の細胞内情報伝達系には不明な点が依然多いため、このリン酸化酵素カスケードを詳細に解析した。方法として、ラット新生仔培養心筋細胞に、Ras及びRaf-1キナーゼのdominant negative mutant(D.N.Ras、D.N.Raf-1)あるいはSrcファミリーキナーゼの機能を抑えるC-terminal Src kinase(Csk)の遺伝子を、ERK遺伝子と同時に導入した。また、種々のリン酸化酵素阻害薬で前処理し、AngII刺激後のRaf-1キナーゼ及びERK活性を測定した。 その結果、AngIIによるERKの活性化は、Csk、D.N.Rasの影響は受けなかったが、D.N.Raf-1の導入で完全に抑制された。一方、フォルボルエステルの24時間刺激またはカルフォスチンCによりPKCを抑制すると、AngIIによるRaf-1キナーゼ及びERKの活性化が完全に抑制された。しかし、チロシンキナーゼ阻害薬(チルフォスチン、ゲニスタイン)及びRas阻害薬(マニュマイシン)は、AngIIによるERKの活性化を全く抑制しなかった。 以上より、心筋細胞におけるAngIIによる肥大反応は、PKCに続くRaf-1キナーゼ/ERK経路の活性化を引き起こすことによって生じることが判明し、Srcファミリーキナーゼを含むチロシンキナーゼ、Rasは関与していないことが示された。
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