研究課題/領域番号 |
08258212
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
伊藤 裕 京都大学, 医学研究科, 助手 (40252457)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1996年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | cGMP / ナトリウム利尿ペプチド / Gキナーゼ / 心不全 / アンジオテンシンII / 冠動脈硬化 / アデノウィルス |
研究概要 |
1.心血管系においてcGMPカスケードの主要なシグナル伝達物質であるヒトcGMP依存性プロティンキナーゼ(Gキナーゼ)タイプIαcDNA全長のクローニングに成功した。更に、ヒト各組織におけるGキナーゼIαの遺伝子発現を検討し、心房、心室、血管、肺、腎、副腎組織における高い発現を認めた。また、Gキナーゼは単一の遺伝子のalternative splicingによりタイプIα、Iβが生合成されること、ヒトGキナーゼ遺伝子は第10染色体に位置することが明らかとなった。 2.GキナーゼタイプIαmRNA発現調節を検討し、cGMPそのものではその発現がわからないこと及びナトリウム利尿ペプチド発現が亢進したヒト不全心筋においてGキナーゼmRNA発現はdown‐regulationを受けていないことを明らかにした。一方、血管平滑筋細胞において、その増殖を促進する増殖因子のPDGF、サイトカインのTNF‐α、血管作動性物質であるアンジオテンシンIIによりその発現が抑制されることを示した。 3.cGNPカスケードのリガンドの一つであり、血管局所因子であるC型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)が、ヒト閉塞性冠動脈病変において内皮細胞でその発現が低下しており、一方、病変部に動員される合成型血管平滑筋細胞、マクロファージにおいてその発現が認められることを報告した。更に、CNPcDNA組み換え非増殖型アデノウイルスを構築し、血管平滑筋細胞に遺伝子導入し過剰発現させることにより、血管平滑筋のG1期増殖抑制が起こることを明らかにし、更に、その分化誘導の可能性を示した。また、実際のウサギ増殖性血管病変にGNPアデノウイルスを感染させることにより病変が抑制されることも報告した。現在、CNPアデノウイルスの心筋細胞への導入により心筋肥大の抑制、分化誘導が起こるかにつき検討中である。 4・ヒトGキナーゼIαはN端部dimerization domainを除去すると、cGMPを必要とせずconstitutive activeになることが報告されている。そこで今回、1でクローニングしたGキナーゼの持続活性型ミュータントを作成した。更に、心筋分化におけるGキナーゼのin vivoでの意義を明らかにするため、Gキナーゼ持続活性型ミュータントのトランスジェニックマウスを開発中である。
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