研究概要 |
1.遺伝子改変プロモータを用いたLoss of functionの実験結果から、PSPAL1遺伝子5′-プロモータ領域に含まれるエリシターよる発現誘導応答に必要なシス因子として、box 1(L-box)およびbox 2(P-box)があげられる.このことはbox 2とbox4を4-8ユニット繰り返し配列で繋いだキメラ・プロモータを用いたGain function実験からも更に裏付けられた.トランジェントアッセイの解析に加え、box 1(L-box),box 2(P-box),box 4(AT-box)各ボックスシークエンスを除去した遺伝子改変プロモータをGUSレポーター遺伝子に連結したpBI系遺伝子組換えプラスミドをタバコに導入し、トランスジェニックタバコにおけるin planta loss of function実験を行った.その結果、これらのボックスシークエンスは、エリシターやUV照射による発現誘導応答に必要であるばかりでなく、basalなPSPAL1のプロモータの発現にも影響を及ぼすことが明らかとなった.これらのシス因子は単独ではプロモータの活性化に及ぼす効果が少なく、これらのボックスに結合する調節タンパク質が協調的に働いていると考えられる. 2.エンドウカルコン合成酵素(CHS)遺伝子は少なくとも8つのメンバーからなる遺伝子ファミリーを形成していることが明らかとなり、各々のメンバーの組織特異的・環境刺激特異的発現パターンを調べたところ、CHS遺伝子ファミリーの8つのメンバーは少なくとも3つのサブファミリーにグループ分けすることができることが明らかとなった。これらのうち2つのエリシター応答性グループのプロモータにはBox-1,G-Box,Box-2配列が保存されており、これらの配列がエリシター応答に重要であることが、塩基置換を導入したプロモータのトランジェント・トランスフェクション・アッセイによっても確認された。また、エリシター等のシグナルによる急激なCHS活性の増加は転写の活性化のみならず、遺伝子ファミリーの各メンバーの協調的な活性化、並びに転写後の調節機構にも基因することが推察された。
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