研究概要 |
平成8年度重点領域研究「植物器官プラン」において、ノーザン法およびin situハイブリダイゼーション法により、イネ低温感受性葉緑体形成不全突然変異体virescent(υ_1)におけるプラスチドの転写・翻訳系遺伝子の発現パターンを解析した。その結果、rpo,rps遺伝子の発現と、それらがコードする葉緑体内の転写・翻訳系の確立のタイミングが、葉緑体の正常な分化の決定要因であり、υ_1遺伝子は、葉緑体の転写・翻訳系の遺伝子の発現制御を通じて、プラスチドゲノムにコードされた遺伝子の発現をコントロールしていることを明らかにした。今後、rpoおよびrps7、rps15遺伝子に対するペプチド抗体を作製し、ウエスタン法や免疫電顕法により蛋白レベルでの発現調節についてさらなる解析を行いたい。また、平成8年度重点領域研究において開発したパーティクルガンを用いたトランジェントアッセイ系を用いて、rpo,rps遺伝子のプロモーター上流域の解析を行い、それらのシスエレメンント同定を行う予定である。以上の研究から、プラスチド遺伝子の発現調節の機構を明らかにするとともに、これまでその存在が示唆されてきた細胞核由来の新しいプラスチドRNAポリメラーゼの実体を明らかにしたい。
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