研究課題/領域番号 |
08264218
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
井出 博 広島大学, 理学部, 教授 (30223126)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1996年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | DNA修復酵素 / DNA損傷 / 活性酵素 / 突然変異 / オリゴヌクレオチド |
研究概要 |
活性酸素や電離放射線などフリーラジカルに由来するDNA損傷は、生成する損傷が多用なため、遺伝的な影響や修復酵素の解明が遅れている。DNA損傷の遺伝的な影響や修復酵素の研究を行う場合、特定の損傷を含むオリゴヌクレオチドを基質として用いることにより、従来限定された範囲でしか行えなかったDNA複製エラーや修復酵素のスクリーニングが効率よく行えると考えられる。本研究では、第一段階と、多数存在する活性酸素由来のDNA損傷の中から、突然変異性が高く発がんに深く関わると予想される損傷のオリゴヌクレオチド基質への導入と突然変異性の確認を目的として以下の実験を行った。 1.分子構造的な観点からDNA複製エラーを誘発しやすいと予想されるα-deoxyadenosine(α)及び5-formyluracil(fU)をオリゴヌクレオチドに選択的に導入する方法を検討した。αはホスホロアミダイト法によりオリゴヌクレオチドへの導入が可能であった。fUは同様な方法では分解が起こることが分かり、より穏和な方法を検討した。この目的で、DNAポリメラーゼ基質として,fUのヌクレオチド三リン酸(fdUTP)を合成し、酵素反応によりオリゴヌクレオチドに導入した。 2.αを導入したオリゴヌクレオチドをM13ベクターに組み込み、大腸菌にトランスフェクションした後、得られたprogeny phageのシーケンス解析を行った。その結果、αは選択的に一塩基欠失を誘発し、その頻度は塩基配列に依存することが明らかとなった。fUの突然変異性は、in vitroでDNAポリメラーゼによるfdUTPの取込挙動に基づき評価した。その結果、fUはアデニンと正しい塩基対を形成するほか、グアニンとミスマッチを形成しやすくなることが示された。さらに詳細な検討から、グアニンとのミスマッチにはイオン化型のfUが関与することが明らかとなった。 今後、変異性の高い損傷を導入したオリゴヌクレオチドを基質として、高等動物由来のDNA修復酵素の検索・精製を行うことを計画している。
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