研究概要 |
リンパ球特異的に発現がみられるLSIRF遺伝子はIRF familyに属するが他のIRF familyのようにIFNで発現誘導はおこらず、抗原刺激によってのみおこる.しかし結合領域は他のIRF familyと同様にISREであることからリンパ球系細胞では独特のIFN調節機構に関与していると予想された.ここではそのリンパ球系におけるLSIRFの生理作用を検討するために遺伝子欠損マウスを作製し、一方その過剰発現とリンパ球腫瘍化への関係を樹立細胞株、臨床例から検討した. 1.LSIRF遺伝子欠損マウスをオンタリオ癌研究所のDr.Tak Makとの共同研究で作製した結果、LSIRF遺伝子欠損によってT cell,B cellのsubsetの大きな異常はみられないものの機能的には重篤な免疫不全(免疫グロブリン産生がほとんどなく、またT-dependent, T-independent antigenに対する免疫応答も極めて弱い.一方、T cellではallogenic response, CTL response,allogenic tumor rejectionも全くおこっていない)があることが明らかになった. LSIRFの過剰発現とヒトT細胞腫瘍化の関係を検討するために種々のT細胞株で発現をみたが、HTLV-1感染細胞株のみに発現がみられた.またtrans-activatorであるTaxによるLSIRFの発現をin ducible Taxが導入されたJurkat細胞、JPX-9にて検討した結果、LSIRFはTaxにて誘導がかかることが確認された.しかしその効果は極めて弱く、Taxによる直接誘導なのかをpromoterの解析から更に検討する必要が示唆された. 3.ATL患者検体からの検討でき慢性期の患者での発現の昴進はみられず、急性期患者由来リンパ球で発現が増強していることが見い出された.
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