研究課題/領域番号 |
08265225
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
高橋 雅英 名古屋大学, 医学部, 教授 (40183446)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
1996年度: 3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
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キーワード | retプロトオンコジーン / チロシンキナーゼ / MEN2A / MEN2B / Hirschsprung病 |
研究概要 |
1993年から1994年にかけて、retプロトオンコジーンが神経堤細胞の増殖、分化異常を生じる複数の遺伝性疾患の原因遺伝子であることが明らかにされた。これらの疾患には多発性内分泌腫瘍症(MEN)2A型、2B型、家族性甲状腺髄様癌(FMTC)、Hirschsprung(HSCR)病が含まれ、いずれもretプロトオンコジーンの点突然変異がgermlineに存在することが証明されている。昨年度の研究により、MEN2A型変異はS-S結合を介したRet蛋白の二量体形成を誘導することにより、リガンド非依存性にRetを活性化することを証明した。またMEN2B型変異はチロシンキナーゼドメインの構造変化により、Retを単量体の状態で活性化するようである。 本年度はまずMEN2Aおよび2B型変異を有するRet蛋白のC末端に存在する5つのチロシン残基をそれぞれフェニルアラニンに置換し、どのチロシンがトランスフォーミング活性に重要であるかを解析した。その結果、MEN2A型Ret蛋白およびMEN2B型Ret蛋白ともに、コドン1062のチロシンを置換するとトランスフォーミング活性が激減することが判明した。さらにコドン1062のチロシンに結合するアダプター蛋白の解析を行ったところ、Shcアダプター蛋白が結合することが明かになり、ShcからRas-MAPK系へシグナルが伝達されていることが強く示唆された。 つぎにHirschsprung病型変異がRet蛋白の機能にどのような影響を及ぼすかを解析した。Hirschsprung病にて検出されたRetの細胞外ドメインの5つの変異を選び、retcDNAに導入し、NIH3T3細胞に発現させた。生化学的解析の結果、5つの変異はいずれもRet蛋白の細胞膜への発現を障害することが判明した。よって細胞外ドメインに検出されたHirschsprung病型変異は細胞表面へのRet蛋白の発現を障害することにより、腸管神経細胞の分化異常を生じる機序が推定された。
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