研究課題/領域番号 |
08265265
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立がんセンター |
研究代表者 |
山田 哲司 国立がんセンター研究所, 病理部, 室長 (30221659)
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研究分担者 |
広橋 説雄 国立がんセンター研究所, 病理部, 副所長 (70129625)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
1996年度: 3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
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キーワード | 扁平上皮 / 基底細胞 / 基底膜 / モノクローナル抗体 / hemidesmosome / 類天疱瘡患者 / BP180 / 扁平上皮がん |
研究概要 |
扁平上皮においては細胞分裂能を有する細胞は基底膜を介して結合組織と接着する基底細胞に限られる。基底膜から離れた細胞には増殖の停止、分化の方向づけが起こり、最終的には細胞死に至る。がんにおいては基底膜からの離脱にもかかわらず細胞の増殖能が保持され、分化、細胞分裂、細胞死の異常を来し、その特徴的な組織像を呈する。このことから、扁平上皮基底細胞と基底膜の接着には細胞の分化と増殖を調節する重要な機構があり、その異常が発がん過程に関わっていると考えた。本研究では扁平上皮基底細胞の基底膜接着面およびがん細胞とに共通に発現する抗原を認識するモノクローナル抗体(NCC-Lu-226)を作製し、その抗原分子cDNAをpanning法をもちい、クローニングした。モノクローナル抗体NCC-Lu-226の認識する抗原はhemidesmosomeの構成分子のひとつであり、自己免疫性水疱世疾患の類天疱瘡患者で自己抗体で認識される細胞膜分子180 Kd bullous pemphigoid antigen 2(BP180)である事が分かった。この抗体を用い以下の諸点を明らかにした。 1.免疫組織染色の結果、正常扁平上皮では基底細胞の基底膜面にBP180の発現は限局したが、食道、子宮頸部、肺、皮膚の扁平上皮がんでは極性を失ったBP180の発現を高頻度に認めた。 2.BP180の異常発現は上皮内がんを含む早期のがんおよび日光角化症などの前がん病変にも検出され、扁平上皮の多段階発がんの早期におこるものと考えられた。 3.扁平上皮がんではBP180の細胞内ドメインの燐酸化が低下しており、この分子を介した細胞内シグナル伝達機構の異常が考えられた。扁平上皮がんにおけるBP180の異常発現はhemidesmosomeの機能不全を反映したものと考えられた。
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