研究課題/領域番号 |
08265266
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立がんセンター |
研究代表者 |
横田 淳 国立がんセンター研究所, 生物学部, 部長 (10191503)
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研究分担者 |
岡田 信子 国立がんセンター研究所, 生物学部, 主任研究官 (70194363)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
1996年度: 3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
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キーワード | 転移 / 悪性黒色腫 / 肺がん / 神経芽腫 / Loss of Heterozygosity / p16遺伝子 |
研究概要 |
発がん機構の解明が遺伝子レベルで急速に進んでいるが、現在までの研究ではがんの個々の病態を遺伝子変化との対応で把握するまでには至っていない。特にがんの臨床上大きな問題である転移に関与する遺伝子についてはその全容は未だに不明である。そこで、本研究ではがん細胞の転移能を制御する遺伝子の単離・同定を目的として、以下の2点についての研究を進めた。第一には、マウス実験転移モデルを用いて、転移能と相関して発現変動している遺伝子を単離・同定する。第二に、がん抑制遺伝子の異常について種々のヒト腫瘍で検討し、さらに異常を起こしている遺伝子の正常化によるがん細胞の性状変化を検討して、がんの悪性化の要因となっている遺伝子異常を明らかにする。第一の研究に関しては、mRNAのフィンガープリント法であるDifferential Display法を用いて、K1735マウス黒色腫細胞株の転移能と相関して発現変動している遺伝子を探索し、高転移株のみで発現している3つの遺伝子と低転移株のみで発現している5つの遺伝子を単離した。うち4個は新規遺伝子だったので、その構造を解析中だが、うち一つは新しいSox Familyの遺伝子だったのでSox21と命名し、その全構造を決定した。第二の研究に関しては、肺非小細胞がんで第2、9、18、22染色体欠失ががんの悪性化に関わっていることを示した。また、正常のp53遺伝子導入によってがん細胞にアポトーシスを誘導でき、正常のp16あるいはRB遺伝子では細胞周期を停止させることができることを示した。さらに、神経芽腫の悪性化にはp16遺伝子が関わっていることを明らかにした。がん細胞の転移能を制御する遺伝子の単離・同定を目的として2つの方向から研究を進めた。マウス黒色腫を用いた研究では、転移能と相関して発現変動している遺伝子を8つ単離した。それぞれの遺伝子について転移能との関連を遺伝子導入実験で検討中だが、その解析が終了すれば、実験モデル系ではあるが、転移能を制御する遺伝子の概要が把握できると考えている。臨床検体を用いた研究は、主にがん抑制遺伝子ついて検討しているが、肺がん・神経芽腫ともp16遺伝子が悪性化に関与していることが示唆された。今後は生物活性及び臨床的意義をさらに追及していくことによって、これらの遺伝子が転移あるいはがんの悪性化にどのように関わっているかを明らかにしていきたいと考えている。
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