研究課題/領域番号 |
08265273
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立精神・神経センター |
研究代表者 |
桃井 隆 国立精神神経センター, 神経研究所・疾病第5部・5部室長 (40143507)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1996年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | Shh / PTC / 扁平上皮がん / NBCCS / 上皮一間充識 |
研究概要 |
Nevoid basal cell carcinoma(NBCCS)は皮膚の基底細胞母斑が多発し、癌化の傾向のほかに、下顎骨部に嚢胞が生じ、骨格系の多発奇形などの発生異常をともなうのを特徴とする疾患である。この疾患の責任遺伝子は形態形成と癌の両方に関与している癌抑制遺伝子の可能性が高いことが想定される。最近、NBCCSの責任遺伝子の染色体座位がShhの受容体遺伝子PTCと同一であること、またNBCCSや弧発性皮膚癌であるBCCのPTC遺伝子に変異が見いだされている。このようにPTCはNBCCSの責任遺伝子である癌抑制遺伝子でる可能性が高いことから、Shh-PTCシグナルと細胞増殖との関連が大いに注目されている。Shhは胎児肺や消化器官、皮膚毛嚢の上皮組織に特異的に発現している。肺では発生初期の分枝前の先端の上皮組織に強く発現し、分枝形成にともない上皮組織に強く発現するが、分枝形成の終了とともに消失する。これに対し、PTCの発現は肺ではShhが上皮に対し、間充識に発現する。われわれはShhが発生初期の肺上皮組織に発現することから、ヒト各種肺癌細胞におけるShhの発現を調べてきた。Shhは肺腺癌や肺小細胞癌には発現せず、肺扁平上皮癌(LK-2など)にのみ特異的に発現していた。一方、PTCは全ての肺癌のみならず、白血病細胞、神経芽腫細胞を含む調べた癌細胞に発現が観察された。リコンビナントShh-Nを作成し、LK-2細胞の増殖への効果を調べてみた。その結果、低濃度のShh-Nは細胞増殖を促進し、また、抗Shh-N抗体はShh-NによるLK-2細胞の増殖促進効果を中和することができた。ShhはLK-2細胞に対し、増殖促進効果をもつことが明らかとなった。このように、Shhシグナルは皮膚癌のみならず、肺扁平上皮癌など内胚葉由来の上皮癌にも関与している可能性がある。
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