研究課題/領域番号 |
08266207
|
研究種目 |
重点領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大泉 康 東北大学, 薬学部, 教授 (00006355)
|
研究分担者 |
松永 公浩 東北大学, 薬学部, 助手 (90222306)
古川 賢一 東北大学, 薬学部, 助手 (20165468)
中畑 則道 東北大学, 薬学部, 助教授 (60045804)
|
研究期間 (年度) |
1996
|
研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
|
配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1996年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
|
キーワード | 海洋微細藻 / ゴニオドミンA / ハレナキノン / Ca動態 / アクチン / rho / G蛋白 / アポトーシス |
研究概要 |
1.海洋微細藻の産生する抗腫瘍活性成分: 大量培養に成功した約100種類の海洋微生物のうち数種の抽出エキスに抗腫瘍活性が認めらた。そのうち、藍藻O. rosea、緑藻O. unicellularisおよび珪藻Entomoneis sp.の抽出エキスから、4種の糖グリセロールを得ることに成功した。Entomoneis sp.は有孔虫M. vertebralisから単離した新規の共生藻で、A. paludosaの亜種と考えられ、現在、同定を行っている。さらに、クリプト藻Rhodomonas sp.の抽出エキスに強い抗腫瘍活性が認められたのでシリカゲルカラムおよびHPLCを用いて順次分離精製を行ったところ、数種の活性画分を得ることができた。現在、精製を進め活性物質を明らかにすることを行っている。 2.海洋生理活性物質を用いた転移、細胞増殖阻害機構の解明: 渦鞭毛藻より単離したゴニオドミンが、癌の転移に重要な役割を果たしているアクチンの機能を活性化することを明らかにした。ゴニオドミンはアクチン分子中のトリプトファンによる蛍光を変化させたことから、アクチンの立体構造をの変化を引き起こすことが明らかになった。 さらに、ゴニオドミンはヒトストロサイトーマ細胞の形態変化を引き起こしたので、その作用を詳細に検討したところ、ゴニオドミンはホスホリパーゼCを活性化し、細胞内カルシウム濃度の上昇をもたらすことが明らかになった。このゴニオドミンの作用は、ボツリヌスC3酵素で細胞を処理することによって抑制されたが、百日咳毒素処理によっては抑制を受けなかった。さらに、細胞膜標本を用いたin vitroでのC3酵素によるrhoへのADPリボシル化反応を抑制したことから、ゴニオドミンはrhoの機能を抑制することが示唆された。したがって、ゴニオドミンは低分子量Gの蛋白質の一つであるrhoに作用し、細胞の接着や移転に影響するものと推定される。 最近、アポトーシスの防止にP13キナーゼの必要性が示唆されている。そこで、ハレナキノンの細胞レベルでの作用を検討したところ、PC12細胞において、アポトーシスに特有の各の形態変化、DNAの断片化が観察された。このことにより、ハレナキノンは細胞レベルでもP13キナノ-ゼ阻害活性を有することが明らかになった。
|