研究課題/領域番号 |
08266248
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
河野 公俊 産業医科大学, 医学部, 教授 (00153479)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
1996年度: 3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
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キーワード | 抗癌剤 / ストレス応答 / 転写関連因子 / 耐性 / 増殖 / 薬剤感受性 / アポトーシス / 癌化学療法 |
研究概要 |
抗癌剤による耐性形質の発現に抗癌剤によるストレス応答の結果としていくつかの転写関連因子が強く関わっていることを見出している。耐性や耐性獲得機序への関与のみならずこれらの転写関連因子が癌細胞の増殖や血管新生、薬剤感受性、アポトーシスにどの様に関与しているのかを解析し、今後の癌化学療法における新しいコンセプトの展開を目的とする。 抗癌剤によって癌細胞が示す早期ストレス応答の最終標的としての転写関連因子群の解析から以下の諸点を明らかにした。 1.YB-1(MDRNF-1)がシスプラチン耐性細胞において高発現している。 2.YB-1アンチセンス導入による細胞内YB-1の減少により癌細胞はシスプラチン感受性となる。 3.YB-1アンチセンス導入にり癌細胞はシスプラチンだけでなく紫外線やマイトマイシンCにも感受性を示し、YB-1がDNAクロスリンク認識分子の一つであり除去修復機序への関与の可能性が示唆された。 4.YB-1のゲノムクローン解析からYB-1の遺伝子が1p34にマップされた。YB-1のプロモーターはCpGアイランドクラスのプロモーターで塩基配列には既知のモチーフは存在しなかった。プロモーター活性は癌細胞ではほぼSV40プロモーターに匹敵した。 5.過酸化水素や抗癌剤によるNF-kBの活性化に伴い、血管新生を促進することを見出し、NF-kBアンチセンスでそれをblockできることを示した。 6.SP1はTNFによる脳腫瘍細胞のVEGF産生の正の転写調節因子であることを示した。 7.臨床腫瘍サンプルの中で肝癌を取り上げ非癌部に比べ癌部においてチオレドキシンやHMG1の発現が高いこと、チオレドキシンの発現レベルがシスプラチン感受性と相関することを見出した。これはvitroの実験を支持するものであった。これらは腫瘍マーカーとしても有用であるだけでなく薬剤感受性のマーカーになることを示している。
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