研究概要 |
ATLの発症にはHTLV-I特異的CD8^+CTLの減少とHTLV-I感染CD4^+細胞の増加がその背景要因として注目されている。本研究はHTLV-I特異的CD8^+CTLをATL患者に移入し治療する免疫療法の開発をめざし、種々のHLAタイプをもつHTLV-I感染者あるいは非感染健常人のリンパ球からHTLV-I特異的CTLを樹立し、ATLの免疫療法に応用する株化CTLのバンクシステムを構築する。平成8年度研究では、日本人のATL患者に好発するHLA型(HLA-A2,A11,A24,A26,A31,A33,B7,B35,B39,B44,B46,B48,B51,B52,B54,B55,B59,B60,B61,B62,B67,Cw1,Cw3,Cw4,Cw7,DR1,DR15,DR16,DR4,DR8,DR9,DR10,DR11,DR12,DR13,DR14,DQ1,DQ3,DQ4,DQ7)を選び、これに適合するHTLV-I特異的CD8^+CTLを当研究室に凍結保存されているHTLV-I感染者のリンパ球バンクから樹立し、それぞれの抗原エピトープを解析して3つの点を明らかにした。(1)HTLV-I特異的CD8^+CTLにはHTLV-I感染抗原(gag,pol,env,pX)のほか未知抗原(cryptic antigens?)を認識するものが樹立されたが、このなかでHTLV-IpX特異的CD8^+CTLがもっとも多く樹立された。(2)日本人のHLAクラスIのなかで、HLA-A2,A11,A24,B7,B62はHTLV-I pXエピトープを認識したが、HLA-A26,A31,A33,B61は認識しなかった。(3)HLA-A2,A11,A24,B7,B62に拘束される抗HTLV-I pXCD8^+CTLがATL患者にも適用でき有用であることが確認された。
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