研究課題/領域番号 |
08267202
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | (財)東京都臨床医学総合研究所 |
研究代表者 |
田中 啓二 財団法人東京都臨床医学総合研究所, 科学療法研究部門, 研究員 (10108871)
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研究分担者 |
川原 裕之 (財)東京都臨床医学総合研究所, 科学療法部, 研究員 (70291151)
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研究期間 (年度) |
1997
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
15,000千円 (直接経費: 15,000千円)
1996年度: 15,000千円 (直接経費: 15,000千円)
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キーワード | プロテアソーム / ユビキチン / タンパク質分解 / 細胞周期 / 免疫識別 / 抗原プロセシング / サイクリン / CDKキナーゼ |
研究概要 |
プロテアソームは分子量約200万の巨大な蛋白分解酵素複合体であり、ユビキチン化蛋白質を選択的に分解する真核生物のATP依存性プロテアーゼである。最近、ユビキチン・プロテアソーム依存性の蛋白分解が、細胞周期のG1/S期転移およびM期進行に重要な役割を演じていることが判明し、国内外で脚光を浴びている。我々は、細胞周期因子として遺伝学的方法で単離した酵母遺伝子NIN1 (nuclear intergrity 1)がプロテアソームを構成するサブユニットの一つであることを証明し、NIN1の温度感受性変異株nin1-1を用いた解析からプロテアソームがG1/S期転移とM期進行の制御に関与すること、そしてその分子機構がCDK/サイクリン・キナーゼの活性化であることを明らかにした。さらに、NIN1(ヒトp31サブユニット)の温度感受性変異株nin1-1のマルチコピー抑圧遺伝子として分離したSUN1とSUN2(suppressor of nin1-1)もこの蛋白キナーゼの活性抑制に関与していることを見出した。これらの結果から、プロテアソームが遺伝情報の複製開始や染色体の凝縮・分配に関与する因子群の代謝的安定性を支配して細胞周期制御に必須な役割を果たしていることが示唆された。一方ごく最近、プロテアソームは内在性抗原のプロセシング酵素であることが判明し、自己と非自己の免疫識別を実行する酵素であることが証明された。我々はインターフェロン-γ(IFN-γ)がプロテアソームを構成する三種のペア-サブユニットの分子内置換を誘導して、“免疫プロテアソーム"を造成し、内在性抗原のプロセシング反応を加速することを提案した。さらに、免疫プロテアソームの遺伝子座の決定から、MHC遺伝子領域が太古の染色体重複によって造成されたことを発見し、抗原提示担当遺伝子群の起源と分子進化に関する新しい仮説を提唱した。本年度はさらにIFN-γ誘導型の新たなプロテアソーム活性化因子PA28がプロテアソームによって生成される抗原ペプチドの「長さ」と「配列」の決定に重要な役割を演じていることを証明した。これらの研究成果は、特異適なキラーT細胞を任意に誘導・増幅することが可能な免疫識別システムの開発に大きく貢献すると思われる。
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