研究課題/領域番号 |
08268210
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
古市 貞一 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (50219094)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1996年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | IP_3受容体 / イノシトール1,4,5-三リン酸 / リガンド結合 / セカンドメッセンジャー / イオンチャネル / カルシウム放出 |
研究概要 |
1.IP_3受容体のIP_3結合領域を大腸菌で発現させて、そのIP_3リガンド結合活性に関してアミノ酸レベルで解析した。N末端側の225〜578アミノ酸はIP_3結合の「コア領域」を形成し、この中でArg-265、LYs-508、Arg-511は必須の塩基性アミノ酸であることが解った。一方、N末端から224アミノ酸まではIP_3結合にむしろ阻害的に働くことを明らかにした。 バキュロウイルスベクター/昆虫細胞系で、機能的なIP_3結合活性を持つヒトIP_3受容体を大量に発現させることに成功した。発現したIP_3受容体のIP_3結合親和性はCa^<2+>の影響を受け、タイプ1IP_3受容体とタイプ3IP_3受容体では全く逆のCa^<2+>濃度依存性を示した。タイプ1は、10nM以下の低濃度のCa^<2+>で高親和性で、Ca^<2+>濃度が高くなるにつれ徐々にIP_3結合活性が低下し、数μMで低親和性に至る、EC_<50>が100nMCa^<2+>のシグモイドカーブを示した。逆に、タイプ3は、100nM付近からそれ以下のCa^<2+>では低親和性で、Ca^<2+>濃度が高くなるに従いIP_3結合活性が上昇し、1μMCa^<2+>以上になると高親和性に達する、EC_<50>が872nMCa^<2+>のシグモイドカーブを示した。いずれのタイプのCa^<2+>依存性の親和性変化は可逆的であった。いくつかの系で、IP_3結合が低親和性の時にIP_3感受性Ca^<2+>チャネル活性が観察され、高親和性に変換するとチャネル活性がなくなることが報告されている。従って、細胞内のCa^<2+>濃度とIP_3濃度の両方がタイプ特異的なIP_3誘導Ca^<2+>放出を巧妙に制御することが予想される。 IP_3受容体の膜貫通領域を含むC末端部分とGreen Fluorescent Protein(GFP)とを融合したタンパク質をアフリカツメガエル卵母細胞で発現させた。共焦点レーザー蛍光顕微鏡で観察すると、発現タンパク質は網目状に分布する細胞内膜(小胞体など)に存在し、核膜外膜にも多く存在した。これらは何れもCa^<2+>ストア膜であることからIP_3受容体本来の局在部位に合致する。また、クロスリンク実験で発現タンパク質が四量体を形成することが解った。以上のことから、IP_3受容体の四量体形成とCa^<2+>ストア膜への局在にはチャネル領域を含むC末端部分が重要であることが明らかとなった。
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