研究課題/領域番号 |
08268221
|
研究種目 |
重点領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
曽我部 正博 名古屋大学, 医学部, 教授 (10093428)
|
研究分担者 |
谷村 禎一 九州大学, 理学部, 助教授 (20142010)
|
研究期間 (年度) |
1996
|
研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
|
配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1996年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
|
キーワード | 機械受容チャネル / A6細胞 / 細胞内Ca^<2+> / 低浸透圧刺激 / ガドリニウム / 細胞体積調節 |
研究概要 |
本研究の目的は、機械受容チャネルの分子実体を求めることと、その生理的役割を明らかにすることにある。本年度は主として後者の研究を進めた。具体的には低浸透圧刺激に対する腎上皮由来のA6細胞の体積調節機構(Regulatory Volume Decrease,RVD)におけ機械受容チャネルの関わりについて検討した。方法としてはレーザ共焦点顕微鏡を用いて、細胞体積の変化と細胞内Ca^<2+>の関係を分析して以下の結果を得た。1)55%低張液刺激に対して、細胞体積は急速な膨張に引き続いて典型的なRVDを示した。これと平行して細胞内Ca^<2+>の急速で一過的な上昇と引き続くプラトー相がみられた。2)細胞外液のCa^<2+>を除いた場合には、Ca^<2+>の一過的上昇は残るがプラトー相が消失し、RVDはやや抑制された。3)タプシガルギン処理で細胞内Ca^<2+>ストアを枯渇させると、Ca^<2+>の一過相が消え、プラトー相のみが残ったがRVDは正常であった。4)細胞内外のCa^<2+>を枯渇させるとCa^<2+>上昇もRVDも消失した。5)細胞内Ca^<2+>を枯渇された標本に対して、外液にGd^<3+>(機械受容チャネルのブロッカー)を含む溶液で刺激すると、Ca^<2+>上昇もRVDも完全に抑制された。以上の結果より、低浸透圧刺激に対する体積膨張に伴って、細胞内Ca^<2+>ストアからのCa^<2+>放出と、機械受容チャネルの活性化によるCa^<2+>流入が平行して生じて前者がCa^<2+>上昇の一過相、後者がプラトー相をつくることがわかった。またRVDはこれらのCa^<2+>上昇に依存するが後者がRVD誘導のより主要なメカニズムであることが強く示唆された。この結果によって機械受容チャネルが細胞の体積調節において明瞭な生理的役割を持つことが明らかとなった。
|