研究課題/領域番号 |
08268223
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
本間 道夫 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50209342)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1996年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | イオンチャネル / フェナミル / ビブリオ菌 / べん毛 / モーター |
研究概要 |
最近、Na^+駆動型モーターのエネルギー変換ユニットあるいはイオンチャネルに対応すると考えられる遺伝子(motXとmotY)が同定された。MotX、MotYタンパク質は共に1回膜貫通タンパク質で、特にMotXは、Na^+チャネルであると提唱されている。しかし、4回膜貫通型でH^+チャネルであるとされているH^+駆動型モータータンパク質MotAとの相同性はない。このため、Na^+駆動型モーターのエネルギー変換部位は、H^+駆動型のものと大きく異なると推定されていた。ところが、海洋性ビブリオ菌において、我々は2つの新たなモーター遺伝子のクローン化に成功した、。それら遺伝子産物は、H^+駆動型モータータンパク質MotAとMotBと相同性を持つことが分かった。各々、pomA、pomBと名付けられた。 PomAタンパク質は4つの推定膜貫通領域を持ち、大腸菌のMotAにおいてイオンの透過に重要であると考えられているアミノ酸がよく保存されていた。このことから、PomAはモーター中でNa^+チャネルとして機能している可能性が考えられた。Na^+駆動型モーターの回転に必須な膜タンパク質はH^+駆動型とは異なり、少なくとも4種類存在することを明らかとした。これによって、Na^+駆動型モーターの分子遺伝学的なアプローチを可能にした。また、我々が研究するべん毛モーターは、解析の進んでいるH^+駆動モーターに比べてイオンとしての取扱いに非常に有利である。次に、モーターの阻害剤であるアミロライドおよびその誘導体を利用できる利点を活かして研究した。アミロライドの誘導体であるフェナミルに耐性になったモーター変異株を単離解析し、耐性の原因が、pomA遺伝子に起こっていることを突き止めた。そこで、耐性株由来のpomAの全塩基配列を決定したところ、唯一の変異として、148番目のAspからTyrへの置換が同定された。これは、特異的阻害剤フェナミルがモーター構成タンパク質と相互作用していることを初めて分子レベルで明らかにしたものであり、動物のフェナミル感受性Na^+チャネルなどと分子レベルでの比較をして、イオンとの機能共関を研究できる道を開いた。
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