研究課題/領域番号 |
08268230
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小林 逹彦 京都大学, 農学部, 講師 (70221976)
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研究分担者 |
片岡 道彦 京都大学, 農学部, 助手 (90252494)
清水 昌 京都大学, 農学部, 教授 (70093250)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1996年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | コバルト / トランスポータ / ニトリルヒドラターゼ / ロドコッカス / 遺伝子 |
研究概要 |
放射菌RhodococcusrhodochrousJ1の、ニトリルをアミドへ変換する酵素“ニトリルヒドラターゼ"の構造遺伝子(nhlBA)と(ニトリルから生成した)アミドをカルボン酸へ変換する酵素“アミダーゼの構造遺伝子"(amdA)の間に存在する(ニッケルトランスポータと相同性を示す)nhlF遺伝子を(前年度の実験ではRhodococcusで発現させることができたが、本年度は)大腸菌で発現させることに成功した。すなわち、本構造遺伝子の開始コドン上流を、大腸菌に最適と考えられるSD配列を有するようPCRを用いて改良し、大腸菌でnhlF遺伝子を発現させた結果、細胞内に^<57>Coを取り込む活性を示し、大腸菌でもコバルト輸送蛋白質が活性のある状態で発現することが明らかとなった。また、高コピープラスミドpUC19および低コピープラスミドpSTV29を用いて、プラスミドのコピー数の違いによる^<57>Coの取り込み活性への影響を検討した結果、大腸菌においては、取り込み活性はコピー数の影響を受けないことが判明した。 また、(既にnhlFの発現に成功している)R.rhodochrous ATCC12674形質転換体において^<57>Coの取り込み活性への各種アンカップラーの効果を検討した結果、本活性はCCCPやSF6847の添加により著しく阻害されたことから、細胞膜内外に作られたプロトン勾配のエネルギーを利用してコバルトイオンの取り込みが起こることが示唆された。また、この取り込みはマンガン、鉄、銅などの金属イオンでは阻害されなかったのに対しニッケルイオンの添加により強く阻害された。しかしながら、本トランスポータは^<63>Ni取り込み活性は示さなかった。 次に、本コバルトトランスポータ遺伝子(nhlF)の発現調節機構を解析した結果、nhlBA、nhlF、amdAがこの順で同じ向きにオペロンを形成し、本オペロン上流に存在する2つのオープンリーディングフレーム(nhlCとnhlD)により各々、正と負の発現調節を受けることが明らかとなった。 本コバルトトランスポータはコバルトを選択的に輸送するトランスポータとしての始めてのタンパク質であり、前年度の結果も併せると、R.rhodochrous J1細胞内にコバルトを取り込み、(コバルトを補欠金属として含有する)ニトリルヒドラターゼにコバルトを供給しているものと言える。
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