研究概要 |
クローン化された内向き整流性K^+チャネルIRK1のポア細胞外側部のArginine148をTyrosineに変えた変異体(R148Y)の機能解析からこの部位が,K^+イオンの透過に重要な役割を果たしていること,さらに,その異常が,K^+ポア内における存在が不安定であるため,細胞内の生理的ブロッカー(Mg^<2+>やポリアミン)をたたきだせないことによるということを明らかにした。これは,energy profileを用いて模式的に表現すれば,最外側のbarrierが低くなり,外側よりのK^+の結合部位であるwellが浅くなっていると考えられる。この模式図の妥当性をさらに検討するために,(a)Tl^+,Rb^+の透過,(b)K^+とTl^+のmixtureを用いたanomalous mole fraction効果,(c)Ba^<2+>,Cs^+,Sr^<2+>によるブロック,(d)Cs^+ブロックにおけるδZについて,wild typeとR148Yを比較解析した。その結果,R148Yにおいてみられる種々のphenotypeの変化は,図1に示した,細胞最外側のbarrierの低下と外側よりwellの浅化で統一的に説明できると考えられた。老木氏らによるR148Hの解析の結果とあわせると,R148は,最外側のbarrierと考えられるが,それにとどまらず,K^+が細胞内ブロッカーによるブロックに打ちかって透過するのに必須な細胞外側よりの構造を(例えばdeep poreに存在するglutamate残基とinteractする等により)規定するのに重要な役割を果たしていると考えられる。
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