研究課題/領域番号 |
08268251
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立循環器病センター |
研究代表者 |
重川 宗一 国立循環器病センター研究所, 循環分子生理部, 部長 (00113738)
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研究分担者 |
池田 俊太郎 国立循環器病センター研究所, 循環分子生理部, レジデント研究員
岩本 隆宏 国立循環器病センター研究所, 循環分子生理部, 室長
若林 繁夫 国立循環器病センター研究所, バイオサイエンス部, 室長 (70158583)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1996年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | Na^+ / H^+交換輸送系 / Ca^<2+>交換輸送系 / カチオン交換輸送系 |
研究概要 |
細胞膜Na^+/H^+(NHE)及びNa^+/Ca^<2+>(NCX)交換輸送タンパク分子の構造・機能相関並びに活性制御機序を明らかにする研究を行って以下の結果を得た。(1)普遍型NHE(NHE1)の細胞質ドメインに系統的な欠失変異を導入し、NHE1活性のpH_i依存性に及ぼす効果からこのドメインが少なくとも4つのsubdomainからなることを明らかにした。このうち、subdomain I(aa515-595)は、活性のpH_i依存性を生理的な範囲に維持するのに必須である。興味深いことに、このsubdomainの26個のアミノ酸残基からなるセグメント(aa540-566)を欠損させると細胞内ATP枯渇に伴うNGE1活性阻害(活性のpH_i依存性の酸性側へのシフト)が消失する。(2)NHE3は組織分布及びその機能・性質がNHE1と異なるが、NHE1と同様にカルモデュリン結合タンパク質であることが明らかになった。NHE3のCaM結合部位は細胞質ドメイン内のaa660-690であり、その結合親和性はかなり高い(Kd=〜50nM)。CaM結合部位の近傍にはPKAのリン酸化部位が存在し、このリン酸によってCaM結合が阻害されることが見出された。(3)心筋細胞のNa^+/Ca^<2+>交換輸送体(NCX1)は、エンドセリン-1、PDGFなどの生理活性因子刺激によりCナーゼを介してリン酸化される。部位特異的変異を導入したNCX1を細胞に発現させ、NCX1のリン酸化ペプチドマッピング解析を行うことによりSer^<325>が2つのリン酸化部位の1つであることが明らかになった。(4)NCX1の機能を生理的に解明するための有力なツールとなる選択的なNCX1阻害剤(KB-R7943)の開発を行った。この薬剤は心筋細胞及び血管平滑筋細胞においてNCX1によるCa^<2+>取り込みモードを選択的に阻害する特性を有し、正常心筋細胞のCa^<2+>トランジェント及び静止時の細胞内Ca^<2+>濃度には影響を及ぼさず、心筋障害モデルであるCa^<2+>パラドックス時の過剰なCa^<2+>流入を特異的に阻止した。従って、この薬剤は虚血性心筋障害などの治療薬の有望なcandidateである。
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