研究課題/領域番号 |
08269201
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
加藤 宏幸 北海道大学, 薬学部, 助教授 (60185866)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1996年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | HIV / Tat / 転写 / TFIIH / キナーゼ / 蛋白間相互作用 |
研究概要 |
酵母two-hybrid系によってTatに相互作用する細胞因子をスクリーニングし、その候補(TAM2)を得た。さらにヒト胎児脳cDNAファージライブラリーをスクリーニングし、全長cDNAを得た。この結果、TAM2は322(または305)アミノ酸の蛋白をコードする分子量33.0kDa、等電点9.40の蛋白であった。特徴的な点は、HRXのシステイン領域に類似性を持ち、N末端にセリン、グリシンに富んだリン酸化を受け易い領域が存在することである。northern blot解析により、2.6kbと2.2kbのTAM2mRNAがほとんどすべての組織に発現していた。これはTatが細胞株に依存せず活性化できることに合致する。 次にTat変異体とTAM2との相互作用を調べた。コア領域は相互作用に必須であること、N末端領域(1-21アミノ酸)およびシステイン領域(22-31アミノ酸)は相互作用を安定化する、塩基性領域は構造的に必要であると結論した。また、TATとの相互作用にはTAM2のC末端の219-322アミノ酸のみが必要であった。この領域に存在するシステインに富んだ配列が相互作用に重要であることが示唆された。以上の酵母細胞内の相互作用をin vitroにおいて確認した結果、TatはTAM2に効率的(30-50%)に結合し、過剰量のHeLa核蛋白によっても阻害されなかった。 Tatと細胞由来のプロテインキナーゼの相互作用が報告されていることから、TAM2とCTDキナーゼであるTFIIHとの相互作用を検討した。その結果、TAM2はTatと同様にHeLa細胞核抽出液中のTFIIHの構成因子であるcyclinHおよびcdk7を共沈させることが判明した。これによりTAR RNA上においてTatはTAM2を介してTFIIHに結合し、TFIIHがRNAポリメラーゼIIの転写開始または伸長の過程を活性化することが示唆された。
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