研究課題/領域番号 |
08269204
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中村 義一 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (40114590)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1996年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | エイズ / HIV / 翻訳 / フレームシフト / エイズ医薬品 / スクリーニング / 分子擬態 / カリニ肺炎 |
研究概要 |
HIVゲノムの発現は翻訳レベルで厳密に制御されているため、翻訳機構を標的とするエイズ医薬品の開発は有効なアプローチである。特に、翻訳フレームシフトはウィルスに特有で、その効率のわずかなくるいがウィルス増殖の顕著な低下をもたらす。そのため、フレームシフトを標的とするエイズ医薬品の開発研究は、有効性、具体性、短期性の点から、優れたアプローチと考えられる。この基本戦略に従って実施した研究成果を要約する。 1.HIV Gag-Polフレームシフトを標的とする抗エイズ薬の発見を目的として、動物細胞、酵母細胞、無細胞系でフレームシフト検定系を作成し、基礎的解析を完了した。その内、動物細胞へのトランスフェクションによるフレームシフト検定系を、マス・スクリーニング用に検討・改良し実用化した。現在、化合物コレクションの1次スクリーニングを実施している。 2.検査の省力化に適したスクリーニング系を、試験管内蛋白質合成反応を利用して作成し実用化の検討を行っている。 3.W.Taylorらが理論的に指摘したHIV未同定遺伝子の真偽(仮想的なセレノ蛋白質の合成)を検証するために必要な、予測ペプチド群の作成とこれに対する抗体の作成を完了し、臨床検体試験を開始した。仮説が正しければエイズ研究のブレークスルーとなるかもしれない。 4.翻訳機構の基礎的研究から、蛋白質とRNA間の分子擬態(Molecular Mimicry)という生物学上の新概念を発見提唱した。分子擬態を利用すれば、CD4エピトープを擬態しHIV粒子を不活化するような新RNA医薬品の開発が期待できる。 5.上記の研究には関連しないが、エイズの合併症であるカリニ肺炎菌に抗原変換の遺伝的な仕組みが存在し、その発現スイッチが染色体のテロメアに局在してDNA組換え部位となっていることを明らかにした。
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