研究課題/領域番号 |
08270207
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
真鍋 俊也 東京大学, 医学部, 講師 (70251212)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1996年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | 長期増強 / 可塑性 / シナプス伝達 / グルタミン酸受容体 / 遺伝子ターゲッティング |
研究概要 |
1.海馬での長期増強(LTP)の誘導閾値がどのようにして決定されるかを検討するため、LTPが減弱することが知られている、NMDA受容体ε1サブユニットを欠損したノックアウトマウスを用いて、LTP減弱を回復させる条件を調べた。2.野性型およびミュータントのマウスにより海馬スライスを作製し、細胞外記録法により興奮性シナプス電位を記録した。この際、記録電極の操作には、備品として購入した一次元アクチュエーターシステムを用いた。また、電位記録は購入したメインフレームのフィルターで処理し実験中はチャートレコーダでモニターした。3.100Hz1秒の高頻度刺激を与えると、ミュータントのスライスでは以前に報告したとおり、LTPの減弱が観察された。4.LTP誘導のための高頻度刺激を、刺激強度を2倍にして与えるとミュータントでのLTPが野性型と同程度まで回復した。したがって、強い脱分極によりNMDA受容体をより強く活性化させるとLTPが回復することから、NMDA受容体の活性化レベルによりLTPの大きさが決定されると考えられる。5.ミュータントのスライスで高頻度刺激を繰り返し与え、LTPを飽和させたところ、飽和レベルは野性型と差がなく、シナプス後細胞へのカルシウム流入以降のLTP発現機構にはNMDA受容体ノックアウトの影響がないことがわかった。さらに、NMDA受容体を介するカルシウム流入が少なくても、繰り返し流入を引き起こせばLTP発現の機構を十分活性化させることができることが明らかとなった。以上を総合すると、LTPの誘導閾値はNMDA受容体を介するカルシウムの流入量により決定されると結論される。6.さらに実験を発展させて、ε1サブユニットを欠損し、かつε2サブユニット蛋白を半量だけ発現するマウスでLTPの誘導を試みたところ、LTPがほとんど消失し、上記の結論がさらに確認された。
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