研究課題/領域番号 |
08270210
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
梅森 久視 東京大学, 医科学研究所, 助手 (20242117)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1996年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | チロシンキナーゼ / 神経可塑性 / グルタミン酸受容体 / G蛋白質 / NMDA受容体 / AMPA受容体 / カルモデュリン / リン酸化 |
研究概要 |
チロシンキナーゼは、細胞の増殖や分化の制御に重要であることが示されてきており、神経組織においても高い活性を持つ。近年、シナプス伝達の長期増強におけるチロシンキナーゼの役割が示唆されている。本研究ではシナプス可塑性に関わるチロシンキナーゼ分子の同定と機能解析を行い、シナプス可塑性の情報伝達の仕組みを分子レベルで解明していきたいと考えている。本年度は、チロシンキナーゼの、グルタミン酸受容体を介するシグナル伝達における意義について詳細に検討した。その結果、 1、代謝型グルタミン酸受容体、mGluR1αをはじめとする、G蛋白質共役型受容体を介するG蛋白質の活性化にチロシンキナーゼ活性が必要であること、また、その基質分子は、G蛋白質のαサブユニットであり、このチロシンリン酸化によってG蛋白質の活性化が制御されていること。 2、NMDA受容体と非受容体型チロシンキナーゼが相互作用していること、また、この相互作用の結果、NMDA受容体サブユニット2Aと2Bが、チロシンリン酸化されること。 3、AMPA受容体刺激で、AMPA受容体サブユニットBおよびCに会合している非受容体型チロシンキナーゼが活性化され、さらに下流にシグナルを伝えること。 を見いだした。このように、チロシンキナーゼは、グルタミン酸受容体を介するシグナル伝達に重要であることが明らかになった。 さらに、我々は、グルタミン酸受容体を制御する細胞内情報伝達分子を検索し、 4、NMDA受容体にカルモデュリンが結合することによりチャンネルを不活性化すること。また、この結合が、リン酸化によって制御されること。 を見いだした。今後さらに、シナプス可塑性に関わるシグナルを、リン酸化を中心とした情報伝達分子の同定と、相互作用のメカニズムやその意義の検討を行うことにより解析していきたいと考えている。
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