研究課題/領域番号 |
08270240
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
伊藤 誠二 関西医科大学, 医学部, 教授 (80201325)
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研究分担者 |
南 敏明 大阪医科大学, 医学部, 助手 (00257841)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1996年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | プロスタグランジンE_2 / プロスタグランジンF_<2α> / グルタミン酸 / NMDA受容体 / アロディニア / 痛覚過敏反応 / 一酸化窒素 / ノックアウトマウス |
研究概要 |
申請者らはマウス髄腔内に投与したプロスタグランジン(PG)PGが熱などの侵害性刺激に対して痛覚過敏反応を誘発するだけでなく、非侵害性刺激に対して、痛みや不快感を示す状態(アロディニア)を長期間にわたって引き起こすことを生理活性物質としてはじめて報告した。さらに、PGの痛覚反応にグルタミン酸受容体-一酸化窒素(NO)系を介することを示唆した。本研究ではグルタミン酸受容体NMDAε1とε4サブタイプノックアウトマウスを用いて、1)PGE_2による痛覚過敏反応がNMDA受容体ノックアウトマウスでは消失したことから、PGE_2による痛覚過敏反応が、NMDA受容体を介していることが直接証明された。一方、PGD_2による痛覚過敏反応は消失せず、サブスタンスPを介することも確認できた。2)PGE_2によるアロディニアはε1のサブタイプ欠損マウスで反応が消失したのに対し、ε4サブタイプ欠損マウスでは反応が消失しなかった。一方、PGF_<2α>アロディニアはε4サブタイプ欠損マウスで反応が消失したのに対し、ε1サブタイプ欠損マウスでは反応が消失しなかった。これらの結果は、明らかにPGによる2つのアロディニアがそれぞれε1とε4サブタイプを介しており、明らかに経路が異なることを示している。3)この結論は、ラット脊髄スライスを用いた灌流実験により、PGE_2がグルタミン酸、NOを遊離させるのに対し、PGF_<2α>では遊離させなかった結果からも支持された。 痛覚反応における複雑な薬理学的な実験結果が、ノックアウトマウスを用いて直接証明された本研究は、痛覚反応におけるノックアウトマウスの有用性を示す初めての報告である。
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