研究課題/領域番号 |
08271101
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
礒辺 俊明 東京都立大学, 理学部, 助教授 (70106607)
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研究分担者 |
花岡 和則 北里大学, 理学部, 教授 (40189577)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1996年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 脳 / 神経回路 / 組織形成 / 情報伝達 / 小脳蛋白質 / 蛋白質相互作用 / リン酸化 / マウスゲノム |
研究概要 |
成熟にともなう神経系の組織化の分子機構を解析する目的で、小脳形成期に特有な2種類のタンパク質(V-1、LANP)に対する標的タンパク質を、(1)大腸菌で発現したグルタチオンSトランスフェラーゼとの融合タンパク質をリガンドとしたアフィニティークロマトグラフィー、(2)GAL4activation domainを利用した酵母two-hybrid systemで検索した。LANPでは、(1)の方法で分子量約90kDaの2種類の結合タンパク質(LANPBP-I,II)が検出された。いずれの蛋白質も、ラットをはじめとする哺乳動物の神経系に広く分布しており、一時構造解析のための予備的な分離を行った。さらに、LANPには構造が類似した3種類のサブタイプが存在すること、またLANPには蛋白質リン酸化反応に共役したシグナル伝達系の調節に重要な蛋白質ホスファターゼのサブタイプPP2A型を阻害する活性があることが明らかになった。一方、本研究で検出されたLANPBP-I、IIの生化学的な特性は、ホスファターゼのどのサブタイプとも異なっており、LANPをめぐる結合蛋白質相互の関連と、シグナル伝達系でのそれぞれの分子の位置づけが注目された。この問題に関連して本研究では、LANPの生理機能を遺伝子ターゲティングなどの発生工学的な方法によってより直接的に解析する目的で、マウスゲノムの単離と構造解析を行った。V-1についての同様の研究では、上記(1)、(2)のいずれの方法でも、結合タンパク質を検出できなかった。この結果の解釈の1つとして、V-1とその結合蛋白質の相互作用には、V-1あるいは標的蛋白質に、例えばチロシンリン酸化などの高等動物に特有な翻訳後修飾が必要である可能性が考えられた。実際に、ラット脳可溶性タンパク質を2次元電気泳動で分離し、V-1に対する特異抗体を用いたウェスタンブロット法で分析すると、等電点が5、分子量13〜18kDaの領域に少なくとも4種類のスポットが検出された。これらのスポットの同定とりわけV-1の翻訳後修飾の解析が、V-1の標的の同定、さらには小脳形成に関わるシグナル伝達系の今後の解析に必要と考えられた。
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