研究課題/領域番号 |
08271218
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
加藤 伸朗 京都大学, 医学研究科, 助教授 (10152729)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1996年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | ニューロトロフィン / シナプス / 可塑性 / リアノジン / 大脳皮質 / 視覚野 |
研究概要 |
ニューロン内のカルシウム変動はシナプス伝達長期可塑性(LTP/LTD)の誘導に必要不可欠である。しかし、単なるカルシウム上昇だけでは十分ではない。カルシウムの時間的空間的変動の多様性が重要かもしれない。あるいはカルシウム以外の情報伝達系が寄与しているかもしれない。ここでは、細胞内カルシウムの時間的変動の多様性に焦点をあてて、そのような多様性の存在とその背景を調べ、さらにニューロトロフィンがこのカルシウムの時間的変動に与える影響もみた。幼弱ラットの視覚皮質スライスで単一の錘体細胞へカルシウム感受性色素フルオ3を注入した。フォトマルチプライア(オリンパス製OSP10)を用いて、脱分極通電(0.5nA)または灰白質刺激(100Hz)により誘発されるカルシウム増加を細胞体にて1ミリ秒間隔で5秒間連続記録した。カルシウム動態に影響を及ぼす種々の薬物を細胞内外に投与して、その効果を調べた。細胞内視鏡カルシウム増加は誘発刺激の持続時間に比例しなかった。緩徐な初期上昇相が刺激時間の長短にかかわらず常に見られ、刺激時間を長くすると急峻な後期上昇相が高頻度に出現した。初期上昇相は電位依存性カルシウムチャンネルに、また後期急峻相は細胞内小胞体からのカルシウム依存性カルシウム放出に、それぞれ依存していると考えられた。過去の報告を考慮するに、今回見いだした後期急峻カルシウム増加相がシナプス伝達長期可塑性における情報伝達の担い手として働いていることも示唆される。ニューロトロフィンのうち、NT4に細胞内カルシウム上昇を促進する効果がみられた。本実験でのNT4カルシウム上昇促進作用は、リアノジンの細胞内投与によって失われた。これは、NT4の作用が細胞内小胞体にも及んでいることを、すなわちNT4がカルシウム信号系へ作用することを示唆する。
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