研究課題/領域番号 |
08271220
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
乾 誠 山口大学, 医学部, 教授 (70223237)
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研究分担者 |
祖父江 憲治 大阪大学, 医学部, 教授 (20112047)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1996年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | シナプス / PSD / チロシン燐酸化 / NMDA受容体 / チャンネル活性 |
研究概要 |
神経ネットワークにおいてシナプスは細胞接着及び情報伝達、情報処理の場として重要な役割を果たしている。シナプス前部は化学伝達物質放出に特殊化された部位であるのに対し、シナプス後部は刺激の受容に関して化学伝達物質物質受容体の集合のみならず神経細胞間の接合や受容体感受性の制御などを行う特殊化した分子構築を示す。本研究は、シナプス後肥厚部(PSD)の分子構築を明らかにし、機能蛋白質の同定及びPSD蛋白質間の相互作用の解析からシナプス機能を解明し、神経回路網形成における役割を明らかにすることを目的とする。 本年度は、PSDの構造と機能を解明するため、その構成蛋白質の検索とグルタミン酸受容体の機能解析を行った。ラット脳より調製したPSD分画には、既に報告されているようにカルスペクチンとCaMキナーゼIIの集積がみられる。各種抗体を用いたイムノブロットによる検索では、PSD95、テンシン、α-アクチニンが著名にPSDに集積されていた。また、抗リン酸化抗体を用いたチロシンリン酸化蛋白質の検索では、約180kDaと110kDaの2つの主要なチロシンリン酸化蛋白質が存在した。この抗リン酸化抗体で染まる180kDa蛋白質は、NMDA型グルタミン酸受容体(NMDA受容体)NR2Bであることが同定されている。さらに、チロシン燐酸化酵素の検索を行った結果、PSD分画にはSrcキナーゼ、FAKはほとんど存在せず、Fynキナーゼが存在することが明らかとなった。 次に、NMDA受容体チロシン燐酸化のチャンネル活性への効果について検討を行った。NMDA受容体NR2Bは、主にNR1とヘテロダイマーを形成して存在すると考えられている。そこで、NR1とNR2BのmRNAをアフリカツメガエルの卵母細胞に注入し、NMDA受容体を発現させ、グルタミン酸/グリシンにより誘発されるBa2+電流によってチャンネル活性を測定した。この卵母細胞にFynキナーゼ或いはバナジン酸を注入すると約30%のチャンネル活性の増加が見られた。この際、NMDA受容体NR2Bのチロシン燐酸化も約30%の増加が認められた。また、genisteinによってNMDA受容体NR2Bのチャンネル活性、チロシン燐酸化は著明に抑制された(80%減少)。これに対し、NR1とNR2Dを発現させた卵母細胞では約30%のチャンネル活性の減少が見られるのみであった。 以上の結果は、NMDA受容体のチロシン燐酸化がチャンネル活性調節に重要な役割を果たしていることを示している。NR1/NR2BとNR1/NR2Dの比較から、両者で異なった部位にチロシン燐酸化を受け、異なった様式でチャンネル活性を制御していると考えられる。NMDA受容体NR2BがPSDの主要チロシン燐酸化蛋白質であること、海馬に豊富に存在するアイソフォームであることから、NMDA受容体NR2Bのチロシン燐酸化がシナプスの長期増強に重要な役割を果たしている可能性が示唆された。
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