研究課題/領域番号 |
08271245
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | (財)東京都神経科学総合研究所 |
研究代表者 |
寺島 俊雄 (財)東京都神経科学総合研究所, 解剖発生学研究部門, 副参事研究員 (20101892)
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研究分担者 |
岸本 泰子 (財)東京都神経科学総合研究所, 解剖発生学研究部門, 主事研究員
池田 やよい (財)東京都神経科学総合研究所, 解剖発生学研究部門, 研究員
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1996年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | SRKラット / リーラーマウス / 神経奇形マウス / リーリン / 大脳皮質 / 皮質脊髄路 |
研究概要 |
SRKラット(shaking rat Kawasaki)は、常染色体劣性遺伝性の神経奇形ラットで、頭を挙上し、体幹をのけぞるようにそらせたり、捩じったり、た四肢を激しく振戦させる。この奇形ラットの大脳皮質の層構築は大きく乱れ、また小脳の小葉形成がほとんどみられず、プルキンエ細胞が異所性に存在する。さらに海馬の錐体細胞の配列は乱れ、歯状回の顆粒細胞は団塊を形成し、層構造を示さない。これらの形態学的特徴は極めてリーラーマウスに類似し、いわばリーラーラットともいうべき動物である。SRKラットの形態学的特徴が、リーラーマウスに類似しているかどうかを検討するために、生後21日齢のSRKラットと対照ラットの腰髄にHRP(ワサビ過酸化酵素)を注入し、錐体路ニューロンを逆行性に標識し、リーラーマウスの錐体路細胞の分布と形態に類似するかどうかを検討した。対照ラットの錐体路ニューロンは、主に、大脳皮質の運動感覚野の下肢領域に存在した。SRKラットの錐体路ニューロンも、同じく下肢領域に分布した。一方、標識ニューロンの皮質内分布は対照ラットとSRKラットで大きく異なっていた。すなわち、対照ラットの錐体路ニューロンは、皮質の第5層に限局するが、SRKラットの錐体路ニューロンは皮質の全層に分布する。また標識された錐体路ニューロンは、対照動物では頂上樹状突起を軟膜側に伸ばす大型錐体型であるが、SRKラットのそれは、頂上樹状突起を表層に伸ばす正常錐体型に加えて、頂上樹状突起を下方に向ける逆転型、側方に向け横転型、頂上樹上突起様の突起を複数もつ双極型等の異常錐体細胞が見られる。 以上の結果は、SRKラットの大脳皮質の切線方向の細胞構築(換言すれば大脳皮質の領域特性)は正常であるが、垂直方向の細胞構築(換言すれば大脳皮質の層構築)は異常であることを示している。
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