研究概要 |
1.RAPD法によるアスパラガス属植物の系統解析 RAPD法により2倍体のアスパラガス属植物7種(A. officinalis, A. cochinchinensis, A. schoberioides, A. scandens, A. virgatus, A. plumosus, A. asparagoides)の系統樹を作成した。その結果、葉緑体DNAのRFLP解析による系統樹と少々異なる点があったが、雌雄異株のアスパラガス属植物は雌雄同株のアスパラガス属植物から単系統で生じてきたことが示唆され、この点については葉緑体DNAのRFLP解析による系統樹と一致した。 2.花芽形態形成遺伝子群の単離 花芽形態形成のABCモデルに関与している遺伝子群のうちAPETARA3(AP3)、PISTILATA、AGAMOUS遺伝子のホモログの単離をRT-PCR法で試みた。 その結果、3つの遺伝子それぞれ1本の期待される大きさのPCR生成物が得られた。これらの断片をクローニングして、そのうちAP3遺伝子について塩基配列を決定した結果、推定されるアミノ酸配列からこのDNA断片hMADS boxを持っており、塩基配列の相同性からAP3遺伝子のホモログである可能性が強く示唆された。他の2遺伝子については現在、塩基配列を決定している。 3.雌雄異株・同株のアスパラガス属植物の核酸(カリオタイプ)の作成 栽培アスパラガスの種子根(雌雄不明)を用いて染色体を観察し、第5染色体を除く9対18本の染色体のカリオタイプを作成した。さらに雄株と雌株の数個体ずつから種子根を得、染色体を観察した結果、雄株において性染色体と考えられる第5染色体にわずかながら形態的な差が見られた。またサテライトを持つ染色体が2対見られた。
|