研究課題/領域番号 |
08275214
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
千葉 和義 東京工業大学, 生命理工学部, 助手 (70222130)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1996年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | ヒトデ / 卵母細胞 / 減数分裂 / MPF / GVBD / cell free |
研究概要 |
ヒトデ卵の減数分裂再開過程をさらに詳細に解析するために、本研究ではヒトデ卵を用いたcell free系を開発した。本cell free系では、単離された卵核胞をM期ホモゲネートに加え、in vitroで核分裂(GVBD)を引き起こすことに成功した。GVBDの過程において、in vivoと同様に染色体が高度に凝集するのが観察された。未成熟卵のホモゲネートではGVBDは起こらず、M期ホモゲネートにMPF活性が検出されたことから、本法は生理的なGVBD過程を再現すると考えられる。 通常(in vivo)ヒトデ卵では、第一減数分裂中期は40分以内に終了し、MPF活性は減少する。しかしながら、M期ホモゲネートのMPF活性は、室温で2時間以上も安定に維持されていた。さらに、抗サイクリン抗体を用いた実験から、M期ホモゲネートのサイクリンが安定に存在し続けていることも確かめられた。この結果は、M期ホモゲネートがM期から抜けられないことを意味している。 M期ホモゲネートには、染色体と分裂装置がふくまれているが、それらの構造はホモゲネート過程で破壊されている。したがって、紡錘体形成の不備を検出するフィードバック制御が働き、M期で停止している可能性が考えられた。そこで染色体と分裂装置を遠心で除いたホモゲネートの上清を作成したところ、予想どおり30分でサイクリンが分解し、ヒストンH1キナーゼ活性も減少した。さらにこの上清に、除幕した精子核を加えると、膨潤することが観察された。この精子核の形態的な変化は、受精後に観察される精子核の変化に対応しており、前核形成の過程の一部を再現していると考えられる。以上まとめると、本年度開発したcell free系を用いることにより、GVBDだけでなくM期からの脱出過程、さらに前核形成過程を再現できるようになった。今後は、本cell free系を用い、各過程をさらに詳細に解析する予定である。
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