研究課題/領域番号 |
08276211
|
研究種目 |
重点領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
遠藤 やす久 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 教授 (50176806)
|
研究期間 (年度) |
1996
|
研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
|
配分額 *注記 |
1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
1996年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
|
キーワード | 昆虫 / 脳 / 神経分泌 / 神経ペプチド / 電子顕微鏡 / 免疫組織化学 / ボンビキシン / 開口放出 |
研究概要 |
昆虫の変態調節の中心的存在である脳および中枢神経系におけるペプチドニューロンの構造と機能を分子レベルで解析することを目標に、カイコ幼虫を材料に神経ペプチドであるボンビキシンを産生するニューロンについて免疫電顕レベルで同定し、その微細構造を明らかにした。また神経分泌の上位調節機構を明らかにするため、ボンビキシンニューロンに西洋ワサビペルオキシダーゼを注入標識し、樹状突起および入力線維を電顕によって観察した結果、樹状突起が左右の両半球のニューロパイルに伸び、入力繊維は部位によって形態が異なることが明らかになった。次にペプチド以外のアミノ酸や一酸化窒素などの低分子伝達物質との共存性を免疫組織化学および酵素組織化学的に検討し、神経分泌ニューロンにおけるNADPH diaphoraseおよびグルタミン酸脱炭酸酵素の局在を明らかにした。免疫電顕の結果、樹状突起内にもボンビキシンの抗体と反応する分泌顆粒が含まれていることが明らかとなった。それらの顆粒が脳内で放出されるか否かについて、摘出した脳を高密度(60mM)のカリウム液で脱分極刺激し、タンニン酸固定を施したあと電顕的に放出像を検討した結果、脳のニューロパイル内で神経分泌顆粒の放出がおこることが明らかとなった。放出は典型的な開口放出であるが、所謂シナプス部位ではなく、その機能は単なる神経伝達ではないことを示している。以上の結果より、昆虫の神経分泌ニューロンが脳内の部位によって異なる神経回路からなる複雑な調節機構を受けていること、ボンビキシンのような神経ペプチドが血液中に放出されて神経分泌ホルモンとしての機能をはたしているだけでなく、脳内のニューロパイルの中で放出されて、別の何らかの神経機能を果たしていることが示された。
|