研究課題/領域番号 |
08278212
|
研究種目 |
重点領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
市山 新 浜松医科大学, 医学部, 教授 (90025601)
|
研究分担者 |
鈴木 俊顕 浜松医科大学, 医学部, 助手 (90252171)
|
研究期間 (年度) |
1996
|
研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
|
配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1996年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
|
キーワード | 蓚酸 / 原発性高蓚酸尿症1型 / セリン:ピルビン酸 / アラニン:グリオキシル酸トランスアミナーゼ / 変異蛋白質 / エネルギー依存性蛋白質分解 / 26Sプロテアソーム / 網状赤血球溶血液 / pre1-1酵母変異株 |
研究概要 |
原発性高蓚酸尿症1型(PH1)は肝臓のセリン:ピルビン酸/アラニン:グリオキシル酸トランスアミナーゼ(SPT/AGT)の欠損により起こる。本邦で最初に確定診断されたPH1症例では、遺伝子第6エキソンのT→C点変異のため生じた変異SPT/AGT(S205P)が急速に分解されていることが認められた。しかも、網状赤血球溶血液での分解はATP依存性であった。本研究ではこの変異SPT/AGTの分解機構の解析を志した。 cDNA移入COS細胞でのパルス-チェイス実験で認められた^<35>S標識変異SPT/AGT(S205P)の速やかな分解は酵母細胞でも起こり、しかも20Sプロテアソームのキモトリプシン活性を欠くpre1-1変異株でも同様に分解された。ウサギ網状赤血球溶血液を用いたin vitroの系において、変異SPT/AGTの分解はATPとMg^<2+>を必要とし、加水分解を受けないα,β-およびβ,γ-methylene ATPはATPの代わりにならなかったことから明らかにエネルギー依存性分解と判断された。しかし、各種プロテアーゼ阻害剤の効果を調べた実験において、N-ethylmaleimide,TPCK.chymostatinは有効であったが、20Sプロテアソームの阻害剤とされているMG115(Cbs-Leu-Leu-norvalinal)とPSI(Cbs-Ile-Glu[O-t-Bu]-Ala-leucinal)は無効であり、更に抗ラット20Sプロテアソームウサギ抗体を用いてプロテアソームを除去したラット網状赤血球溶血液でも変異SPT/AGTの分解が観察された。以上から変異SPT/AGTの分解は26Sプロテアソーム以外のエネルギー依存性プロテアーゼにより触媒されると推定されたが、変異SPT/AGTの分解に関与するプロテアーゼ系を実体として捕えることは困難であった。現在、変異SPT/AGTの分解のためにはこの変異蛋白質を何らかの分解補助因子の存在下で合成する必要があると推定しており、この因子を検索しようとしている。
|