研究課題/領域番号 |
08278235
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 徳島文理大学 |
研究代表者 |
勝沼 信彦 徳島文理大学, 家政学部・健康科学研究所・教授, 所長 (50035375)
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研究分担者 |
遠藤 晃一 徳島文理大学, 家政学部, 教授 (80075952)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1996年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | カテプシンL / カテプシンB / 骨粗鬆症 / カテプシン阻害剤 |
研究概要 |
1.[研究目的と創薬の新方法論] カテプシンLタイププロテアーゼの特異的阻害剤を開発して骨コラーゲン過剰分解を抑制し、骨粗鬆症の新治療薬を開発することを目的としておこなった研究である。その開発方法論として、標的酵素カテプシンLタイププロテアーゼの立体構造グラフィックスにフィットする阻害剤を理論的にデザインし、それらを化学合成するという新方法を確立して成功した。従来のバクテリアや植物の有効成分をスクリーニングするという方法論に換わる新しい創薬デザインである。 2.[研究成果] カテプシンBのX線結晶解析により立体構造グラフィックス作った。またパパインとの類似性からカテプシンLの推定立体構造をも作った。これらにより、両酵素の基質結合ポケットの立体構造的差異明らかにすることが出来た。最大の差異はカテプシンBには基質結合ポケットの上部がEI_<122 105>によりOccluding loopを作ってふさがっており、そこに110と111番の2つのHistidineがあるために、基質や阻害剤のC末がこれらのHistidineに固定されることである。カテプシンLは上部にこのOccluding loopがないので自由に大きな分子がC末から入り得る。従ってカテプシンBではC末が固定されると、それからペプチド結合2ケの距離にあるエポキシコハク酸が、酵素のシステイン-SHおよび23番グルタミンの間でオキソアニアンホールを作って強く結合される。以上の理論を基にして新しいエポキシコハク酸誘導体をデザインして強力にしてカテプシンLに特異性の高い新阻害剤を開発した。これらはCLIKと名付けられた。これらは10 ^8Mの濃度でカテプシンLを完全阻害し、10 ^6Mでも他のカテプシン群を全く阻害しない。これらのCLIKのカテプシンLに対するKI-は10 ^9Mオーダーである。更にこれらのCLIKは破骨細胞による骨コラーゲンの分解、ビット形成を強く抑制することが出来た。従ってCLIKは細胞内に良く取り込まれ、毒性もなく有効に細胞内のカテプシンLを抑制できることが明らかになった。 3.[学術的、医学的意義] 新しいカテプシンLの特異的阻害剤を開発することにより、カテプシンLの生体内役割を解明できるばかりでなく硬骨細胞のカテプシンLによりおこる骨吸収を抑制する新薬の開発ができる。即ち、骨粗鬆症の新薬開発に貢献できる。更に病因をなす標的酵素の立体構造からコンピューターグラフィックスにより新しいトラッグデザインをする新方法論を確立し、今後の創薬に新分野を開拓した。
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