研究課題/領域番号 |
08280207
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
池田 日出男 東京大学, 医科学研究所, 教授 (10012775)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1996年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | 非相同的組換え / 染色体異常 / RecQヘリケース / RecJエキソヌクレアーゼ / Fis蛋白質 / DNAジャイレース / ブルーム症候群 / ウエルナ-症候群 |
研究概要 |
非相同的組換えは、相同性のないDNA間、あるいは短い相同配列間で起こる組換えで、染色体異常の原因となることが知られている。我々は、非相同的組換えがどのように起こり、また、どのように制御されているかを調べるために、遺伝学的及び生化学的アプローチが可能な大腸菌を用いた解析系を構築し、非相同的組換えの機構を調べた。この解析系を用いた実験の結果から次のことが示唆された。(1)組換えは、DNAの損傷とDNA複製フォークが衝突することによって誘導されるDNAの二本鎖が引き金となって起こる。(2)RecJエキソヌクレアーゼは、DNAどうしがつながりやすくなるようにDNA末端の構造を修正する。(3)RecQヘリカーゼは、DNA末端どうしが会合した組換え中間体の結合部分を巻き戻すことにより非相同的組換えを抑制する。(4)DNA結合蛋白質Fisは、DNA断片に結合してDNAを折り曲げ、DNA末端の結合を助ける。(5)ある種のDNAジャイレース変異株では、非相同的組換えが自然に誘発されることがわかった。この組換えは、DNAの損傷によって誘導される非相同的組換えとは異なり、DNAジャイレースによって誘導される組換えである。この組換えには、さらに、二種類の機構が存在することが明らかになった。以上の結果は、いずれも初めて明らかになった事実であるが、中でも次の点が興味深いと思われる。昨年、急性白血病が高頻度で起こるブルーム症候群や若年老化が起こるウエルナ-症候群の原因遺伝子(BLM、WRN)が大腸菌recQのホモログであることが明らかになった。これらの病気の細胞においては染色体異常が頻発することが知られているので、大腸菌recQ変異株に見られる非相同的組換えの高頻度誘発の現象は、これらのヒトの遺伝子疾患のモデルとして有効であると思われる。
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