研究課題/領域番号 |
08280208
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
木村 彰方 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (60161551)
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研究分担者 |
壬生 隆一 九州大学, 医療短期大学部, 教授 (20200107)
畑 隆一郎 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教授 (10014276)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1996年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 高発がん家系 / 修復欠損 / マイクロサテライト / ゲノム不安定性 / がん関連遺伝子 / 遺伝的多型 / HLA / β2ミクログロブリン |
研究概要 |
大腸がん多発家系由来大腸がん20例及び一般大腸がん62例について、28種のマイクロサテライトリピートを用いてゲノム不安定性を検討した。その結果、大腸がんはI群(20%以上の座位でRERを示す)、II群(4〜20%の座位でRERを示す)、III群(RERを示さない)分類できた。I群は多発家系大腸がんの35%、一般大腸がんの6%を占めた。ついで、種々のがん関連遺伝子における体細胞変異を検討したところ、p53、APC、DCC変異はI群に少ないことが判明した。一方Ki-ras変異頻度度は群間に差がなかった。またhMSH2あるいはhMLH1変異はI群の約半数にのみ検出された。さらに種々のがん発生や進展に関与すると考えられる遺伝子の変異を検討したところ、I群にのみPolB(18%)、B2M(45%)、p21(9%)、p16(9%)変異が検出され、TGFBRII(91%)、HLAクラスI変異(36%)はI群に多く観察された。注目すべきは、B2M変異とHLAクラスI変異の両方を有するがんは存在しなかったことであり、これらのいずれかに変異を有するがんはI群の81%、II群やIII群では10〜13%であった。このことから、RER陽性腫瘍に特徴的な変化として、TGFBRII変異以外に、HLAクラスI分子発現の量的あるいは質的変化が存在すると考えられる。一方、RERの検出頻度はマイクロサテライトの多型の程度とは必ずしも一致しなかったことから、人類集団におけるマイクロサテライト多型に関する研究を行った。HLA-DQ領域のCAリピートであるDQCARには、少なくとも10種の対立遺伝子が存在し、その約半数(DQB1^*02、^*03または^*04に連鎖する群)は配偶子形成時の変異頻度は高く、残る半数(DQB1^*05または^*06に連鎖する群)は変異頻度が極めて低いことを見出した。この配偶子形成時の変異は、CAリピートを増加させる方向のものが2:1の頻度で多く、また完全な(CA)nリピートの長さが8以上である場合に高率に生じることを塩基配列解析によって明らかにした。
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