研究概要 |
ヒトにおいてCD40やCD40Lの点突然変異により重度の免疫不全hyper IgM immuno deficiency(HIM)が発症することから、CD40を介するシグナル伝達の分子機構を研究し、以下の成果を挙げた。 1)CD40細胞質領域に変異を導入しNFkBの活性化に必要な部位を解析した。その結果、アミノ酸220-245及び246-270の二つの部位が独立にNFkB活性化シグナルを伝達することを明らかにした。 2)酵母ツ-ハイブリット法によりCD40細胞質領域に結合する二種類の新規TRAF蛋白質(TRAF5,TRAF6)のcDNAを得た。両蛋白質とも過剰発現により転写因子NFkBを活性化させた。 a)TRAF5 1.558アミノ酸からなる蛋白質でin vitro結合実験から、CD40の他にもlymphotoxin-b receptor,CD30の細胞質領域に結合した。また、CD40内の結合領域はアミノ酸246-270であった。 2.N末端側を欠失したTRAF5の発現はCD40刺激に依存したCD23の発現誘導をdominant negativeに抑制した。 b)TRAF6 1.530アミノ酸からなる蛋白質でin vitro結合実験から、CD40の他には結合する受容体を見い出せなかった。またCD40内の結合領域はアミノ酸230-245であった。 2.N末端側を欠失したTRAF6の発現はCD40刺激に依存したNFkBの活性化をdominant negativeに抑制した。 TRAF5及びTRAF6はCD40細胞質領域の独立した二つのNFkB活性化部位からのシグナルを各々伝達することが示唆され、またTRAF5結合部位はアポトーシス抑制に必須であることからTRAF5によりBcl-xL,Cdk-4&6,p27kip-1の発現が制御される可能性がある。
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