研究概要 |
VpreB,Lambda5、2つの蛋白が会合したsurrogateL鎖は免疫グロブリンH鎖と共にプレB細胞レセプターを形成する。その機能として免疫グロブリン遺伝子の再構成に係わっていることは十分に推察される。1つはAllelic exclusion、もう1つはL鎖(特にK鎖)の再構成の活性化である。我々は、プレB細胞特異的発現の調節機構について調べた結果、VpreB1遺伝子のプロモーターはプレB細胞特異的発現を制御しているシスエレメントであり、このVpreBのプロモーターとLambda5のプロモーターに共通に結合するDNA結合蛋白EBB-1を見出した。EBB-1はVpreBの発現に必須であり、我々はBusslingerらによって発見された遺伝子、Pax5の遺伝子産物であることを見出した。Pax5は、プレB細胞、成熟B細胞特異的に発現し、これまでCD19、CD20、IgH3′enhancerなどに結合することが分かってきており、B細胞分化を制御するキ-の蛋白である。最近、Ferradiniらは、Jkの上流にあるKI,KIIサイトがk鎖の再構成に重要であることをノックアウトマウスで証明したが(Science271:1416,1996)、我々はさらにPax5がこのKI,KIIサイトに結合することを見出し、Pax5は再構成の初期活性化に大事な役割を果していることが期待される。またPax5はプレB、B細胞特異的発現をするため、免疫グロブリン遺伝子のみがB細胞でVDJの再構成し、T細胞レセプター遺伝子が再構成しないという免疫の本質的なところに係わっている可能性が高い。
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